自動車技術会は5月22日~24日、横浜市のパシフィコ横浜で「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2024」を開催した。590社/1378小間の規模で開かれ、3日間で75972名が来場した。ベアリング&モーション技術(bmt)関連では、以下のような展示がなされた。
イグスは、機械や設備などの画像からAIが無潤滑化につながる樹脂部品を提案するアプリ「igusGO(イグスゴー)」を紹介した。ブースでは、来場者に同アプリをスマートフォンにダウンロードしてもらい、可動機構を持つ自動車やロボットの模型を撮影してもらうことでAIが画像を認識し、対象物で使われるベアリングやリニアガイドなど、活用・置き換えの可能性があるイグスの無潤滑部品をユーザーに提案するというデモンストレーションを行った。
NTNは、タイヤ側に搭載される固定式CVJの従来の構造概念を大きく変え、ボールが転がる転動溝が内輪・外輪で互いに交差するとともに、隣り合う転動溝が互い違いに傾斜した独自の「スフェリカルクロスグルーブ構造」を有する高効率固定式等速ジョイント「CFJ」を紹介した。その構造によってCVJの内部部品間に発生する力を相殺でき、世界最高水準の高効率化(従来品に対しトルク損失率を50%以上低減)と軽量・コンパクトを達成、「第74 回自動車技術会賞・技術開発賞」を受賞している。
ジェイテクトは、カーボンニュートラル達成に向けて注目を集める水素社会への貢献を目指し、化石燃料の代わりに水素をエンジンで燃焼させて走行する水素エンジン車向けに開発した「高圧水素減圧弁」を紹介した。バルブから供給された高圧水素をエンジンで必要な圧力に調整(減圧)する製品で、燃料電池自動車向け第2世代高圧水素減圧弁のコア技術を生かし、エンジンが必要とする圧力の水素を供給できる。
大同メタル工業は、「大同は挑む!高速領域(30000rpm)のその先へ‼」と謳って、E-Axle向け転がり軸受の滑り軸受化を提案した。滑り軸受化によって流体潤滑による大幅な低摩擦化やモータの高速回転への対応や高負荷時の耐久性向上が図れるほか、最大65%減の省スペース化と平均85%減の軽量化が可能な点などをアピールした。
大豊工業は駆動ユニット各部位における転がり軸受の滑り軸受化を提案した。ユニットの小型化、低NVかの課題に対して、転がり軸受を最小板厚1.0mmの滑り軸受に置き換えることで、外径で約40%減の省スペース化が図れるほか、流体潤滑の滑り軸受への置き換えで約40%NVを軽減できるとアピールした。
日本精工は、超低フリクションT-HUB(円すいころ)ユニット軸受を体感する展示を行った。同軸受は、電動車の低フリクション化と軽量化に貢献するユニット軸受で、ブースでは現行品(第2.5世代)と、予圧範囲を縮小しボールハブで培った設計仕様を盛り込み低フリクション化を図った開発中の新製品(第3世代)を展示。現行品と新製品の回転トルク差を体感できる展示とした。
不二越は、EVモータの5万回転対応を目指した高速回転軸受を紹介した。CAEにより高速回転時の保持器応力を低減することで早期破壊、疲労破壊を回避できるほか、保持器変位を低減することで軸受の昇温・焼付きを回避できる。保持器形状の最適化により軸受幅の短縮が可能となり、ユニット重量の低減に貢献する。軸受内部諸元の最適化により低トルク化を実現している。シムにより保持器の変形/応力を抑制
ミネベアミツミは、超精密加工技術により小型軽量化と高速高出力化の両立を実現した「電動コンプレッサ用ボールベアリング・リテーナリング」を紹介した。超精密機械加工技術によってボール転走溝の粗さを向上させているほか、可動スクロールの複数のリテーナリングは回転時の抵抗を防ぐために極めて高い真円度が要求されることから、ボールベアリング部品を転用した専用のリテーナリングを採用している。