NTNは、世界最高水準のコンパクト性(小型・軽量)と優れた応答性を持つボールタイプしゅう動式等速ジョイント「EDJ」を改良し、静粛性と効率をさらに向上させたEV(電気自動車)用高機能モデルを新たに開発した。

新開発グリースの適用により、コンパクト性と応答性、静粛性、高効率などEV 特有のニーズに対応した本開発品をEV 用ドライブシャフトのラインアップに加え、グローバルに広く提案を進めていく。2030年度に90億円/年の販売を目指す。
EVは航続距離の延長を目的に省電費化が進められており、EV用ドライブシャフトにはモーターからの動力(トルク)を損なうことなくタイヤに伝えるため、トルク損失率の低減(高効率)が求められる。
また、EVではパワートレインユニットがエンジンからモーターに変わることで車両から発生する音や振動が小さくなるため、静粛性向上のニーズもある。
さらに、広い車内・荷室空間を確保するためのコンパクト性、モーターのレスポンスの良さを生かした、ダイレクト感のある走行性能を実現する高応答性へのニーズも高まっている。
NTNではこれまで、コンパクトで応答性に優れたしゅう動式等速ジョイントとしてEDJを提供してきたが、今回、EV特有のニーズに応えるためEDJと新開発グリースを組み合わせることで、従来品との互換性を保ちながら静粛性や効率をさらに高めたEV用高機能モデルを開発したもの。

ボールと内部部品の間のすき間が小さいため、応答性に優れるほか発進加速時の低振動化が可能
開発品の特長は以下のとおり。
・静粛性・低振動性:機構解析により、各ボールと内外輪間の接触状態の微小なばらつきが走行中の振動要因であることを解明。接触状態を均一化するとともに新開発グリースの適用で摩擦抵抗を低減することにより、走行中の静粛性の向上と低振動化を実現
・高効率:グリース添加剤の成分を見直し、部品間の摩擦抵抗を低減。トルク伝達時の発熱を抑制し、トルク損失率を従来品比で25%削減
・コンパクト性・高応答性:従来品が持つボールタイプしゅう動式等速ジョイントとして世界最高水準のコンパクト性、高応答性を維持。内部部品間の円周方向ガタ量(バックラッシュ)が小さく、トルクをスムーズに伝達
NTNでは、しゅう動式等速ジョイントとして、コンパクト性・応答性に優れるEDJと、効率・低振動性に優れるPTJをラインアップしているが、これらと世界最高水準の高効率を誇る固定式等速ジョイントCFJを組み合わせ、EVに最適なドライブシャフトとしてユーザーに提案し、EVの多種多様なニーズに対応していく考えだ。

しゅう動式等速ジョイントにEDJを採用したEV用ドライブシャフト