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日本トライボロジー学会、第70期会長に佐々木信也氏(東京理科大学)

 日本トライボロジー学会(JAST)は「トライボロジー会議 2025 春 東京」の会期中の5月27日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで「第69期定時社員総会」を開催した。第70期役員の選任についても決議がなされ、第70期新会長に東京理科大学 教授の佐々木信也氏が選出された。

 挨拶に立った佐々木JAST新会長は、「当学会は、会員および維持会員の減少などに伴う財政の悪化が続く、非常に厳しい状況にある。赤字体質の財政状況は簡単に変わるものではなく、第69期では学会のガバナンスの強化に向け、江上正樹会長(NTN)の強力なリーダーシップのもと、さまざまな改革を実施。財務面での改善についても、『トライボロジスト』の電子ジャーナル化により経費節減を図るという方向性を示した。第70期ではこれらの施策を着実に実行に移していくことが重要となる。一方で、学会は本来、学術に興味のある方々が集まって議論する場だが、この学会の本質という点での課題も多い。一つには、学会の命綱でもある論文集『Tribology Online』においても十分なインパクトファクターが得られていない。論文の質と量の両面での向上が求められており、国際的な学会誌としての地位獲得に向けて会員各位のご協力を仰ぎたい。また、開催中のトライボロジー会議も若い研究者の方々を中心に頑張っていただいているが、さらなる活性化が必要だと感じている。ハイブリッド開催により活性化を図る案も出ているが、効果的な開催アプローチにどう落とし込んでいくかなど、いろいろと検討・議論していきたい。教育講習もまた、最近は参加者が減少傾向にあるため、プログラムの見直しなど、多くの参加が得られるような工夫が必要と思われる。JASTは70周年の節目を迎えるが、これまで諸先輩方に築いていただいた当学会をさらに良い組織とすべく、良き伝統は保ちつつも、時代にそぐわなくなった制度や慣習については勇気をもって変えていく。また、不足している部分については,国内外の学会や業界、関連団体と連携してコミュニケーションを図りながら強化していくことが重要だと考える。一つの目標として25年後、日本政府がカーボンニュートラル社会実現の目標年としている2050年のJASTが、さらに産業界、学術界から必要とされる輝く学会であり続けるよう、長期的な目線から当学会の運営を見直し、必要な改革を進めていきたい。会員各位のご理解・ご協力を得ながら、目標に向け一歩ずつ前進していきたい」と力強く語った。

就任の挨拶を行う佐々木信也JAST新会長 bmt ベアリング&モーション・テック
就任の挨拶を行う佐々木信也JAST新会長