ブルカーナノ表面計測事業部は8月24日、東京・新川の同社東京事業所で、ナノインデンテーションシステム「Hysitron TI980 TriboIndenter」と多機能トライボロジーテスター「UMT TriboLab」のワークショップを開催した。
「Hysitron TI980 TriboIndenter」は、米国ブルカーが本年1月、米国ハイジトロン社を買収したことにより日本国内では7月10日より同事業部が販売・サポート業務を行っている。同システムは、従来の硬さ試験では測定が困難だったナノ~マイクロ領域のインデンテーション試験が可能。押込み試験により硬さ・弾性率、降伏応力などが、スクラッチ試験により摩擦係数・耐摩耗性、膜の密着性・臨界荷重が、ウエア試験により耐摩耗性、摩耗深さなどが評価できる。ワークショップでは、押込み試験の測定事例紹介として鉄鋼材料やウエハー、カーボンファイバーの測定結果を紹介。スクラッチ試験・ウエア試験では薄膜の密着性評価と耐摩耗性評価について解説した。その上で、同試験機は微小領域の特性理解には有用であるとして、最高800℃まで加熱可能な環境ステージを採用することで、実際の使用温度や工程温度での機械的特性を正確に評価することが可能とした。
「UMT TriboLab」はボール・ピンオンディスクなどの回転試験や往復摺動試験、ブロックオンリング試験など45種類以上の規格試験に対応している。11種類のセンサにより1mN~2000Nと広い荷重範囲に対応しており、加熱は潤滑環境下で400℃、ドライ環境下で1000℃、湿度が5~85%RHに設定できるなど様々な環境制御が行える。当日の解説では、主な用途となる摩擦摩耗試験について各規格に対応した試験事例を紹介したほか、ビッカース、ロックウェルに対応した高温環境での硬さ試験や、マクロレベルのスクラッチ試験の事例として、HDDに使用された硬質コーティングのスクラッチにおいてAEセンサによる密着性の検知例などのアプリケーションについてグラフを示すなど、豊富なオプションによる多様な測定事例を示した。
解説の後は、両験機によるデモンストレーションが行われ、参加者からの質問に講師が分かりやすく答えるなど、充実した内容となった。
ワークショップのもよう