自動車技術会は5月23日~25日、横浜市のパシフィコ横浜で自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」を開催した。内燃機関の燃費改善に加え、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動化、先進運転支援システム(ADAS)などに対応する最新の製品・技術が披露された。ベアリング関連では以下の展示があった。
NTNは、ハブベアリングにタイヤの転舵角度を調整する機構を組み合わせ、前輪に搭載可能なステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」を出展した。左右各輪の転舵角度を最適に補正することで、車両のコーナリング性能や高速直進時の安定性を向上、スリップなど非常時の車両姿勢安定や燃費改善にも貢献する。また、タイヤの回転を支えるハブベアリングにモータ・ジェネレータを組み合わせたモジュール商品「eHUB」を披露した。前輪駆動車の場合は後輪(非駆動輪)に搭載し、エンジン負荷の軽減や電力回生をサポート。今回開発した改良版では内部構造の最適化によって大幅な小型化と許容回転速度の向上を実現し、従来品と同等以上の性能を確保した。
ステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」
ジェイテクトは、独自技術により動作温度範囲-40℃~85℃を実現する「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」を展示した。冷却装置を使用せずに車両に搭載することを可能とする。活用例としてはEPS用補助電源システムがあり、EPSの出力向上を目指した「高出力ユニット」と新たに「バックアップ電源ユニット」を紹介した。「高出力ユニット」は、車載電源装置の12Vを一時的に6V昇圧し、据切り走行時などの高出力化を実現。操舵性能を向上させ、大型乗用車のEPS搭載を可能にすると共に、環境性向上と自動運転化に貢献。 また、「バックアップ電源ユニット」は自動運転車搭載のEPSやステアバイワイヤ向けに、12V系の電源二重化を実現。高耐熱に対応し、ASILに対応した信頼性の高い新電源を目指す。
EPS用補助電源システム「高出力ユニット」
日本精工は、マニュアル車のクラッチを電動で自動的に制御するシステムを紹介。磁歪式トルクセンサにより、トランスミッションのシャフトが回転していないときからトルクをセンシングしてアクチュエータを制御できる「トルクセンサ付き電動クラッチレリーズアクチュエータ」を初披露した。特に発進時のクルマの動きをスムーズにできる可能性があるほか、クラッチ自動断接制御によって運転者が操作することなくコースティング(惰性走行)が可能となり燃費の向上に貢献する。
「トルクセンサ付き電動クラッチレリーズアクチュエータ」
不二越は、 “クリープ"と呼ばれる軸受のすべり現象の各発生原因への対策を図った「トランスミッション用耐クリープ軸受」を展示した。外輪歪みによるクリープへの対策軸受としては、軌道溝を多点接触化することで荷重を分散し外輪変形量を抑制する「多点接触玉軸受」や、外輪外径に特殊コーティングを施すことでハウジングの摩耗を抑制する「外径コーティング軸受」を、連れ周りによるクリープへの対策軸受としては、「Oリング付き軸受」や「外径コーティング軸受」を提示した。
「トランスミッション用耐クリープ軸受」