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SEMICON Japan 2024

 

プラントメンテナンスショーが開催、ベアリング・潤滑管理技術が一堂に

「第42回プラントメンテナンスショー」(主催:日本プラントメンテナンス協会、日本能率協会)が7月18日~7月20日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。ベアリング・潤滑管理関連では以下のような出展があった。

 東陽テクニカ( https://www.toyo.co.jp/mecha/ )のブースでは、予知保全・状態監視用の振動センサと故障検知用トランスミッタが紹介された。ベアリング故障検知用トランスミッタ「682C05」は、機械設備内のベアリングの故障を振動状態監視によって早期に警告できるように設計されたトランスミッタで、10mV/(m/s2)工業用振動センサ「ICP®加速度計」を接続、各種回転機械で測定された、高周波ピークデータと低周波RMSデータの二つの4~20mAの信号を出力する。これらの信号は既存のPLC、DCS、SCADAやアラームおよび制御システムを使用して、他のプロセス変数と一緒に監視される。アナログ電圧信号を出力することも可能で、振動のスペクトル分析等に使用できる。
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 三菱電機エンジニアリングのブースでは、機器から発生する音や振動を計測し時間-周波数解析の一つであるウェーブレット変換を応用した可視化処理によって音や振動を三次元グラフ、グラデーショングラフなどで見える化して解析・診断するアプリケーションソフトウェア「VisibleWave」を紹介した。FFT解析に比べ時間分解能が優れ、うなり音や周期異音など時間的に変動する音や振動の特徴を視覚化できる。設備の振動診断では定期的にデータを採取し変化傾向から異常の予兆を把握できるほか、異常が見られたときの精密診断に適用できる。2週間無料で利用できる「お試し版ソフトウェア」をホームページ( http://www.mee.co.jp/sales/development/visiblewave )からダウンロードできる。
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 振動法による診断が一般的に100rpm未満の回転数の低いベアリングでは適用が困難とされるのに対して、そうした低速回転ベアリングの状態監視手法としては、初期故障状態に対して感度が高いアコースティックエミッション(AE)法が用いられている。こうした状況に対し西進商事( http://www.seishin-syoji.co.jp/ )のブースでは、Physical Acoustics社のAE品質・設備診断システムを紹介。設備から発生するAEの連続測定によって設備の劣化の進行を把握するとともに異常の発生を予測できるとした。ブースでは低速ベアリングのAE診断デモが行われ、正常なベアリングと異常を引き起こしたベアリングとのAE原波形の比較がなされた。
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 一方、機械のトラブルを未然に防ぐコンタミネーションコントロールのアプローチとして、RMFジャパン( http://www.rmfj.co.jp/ )のブースでは、タンクへの水分・コンタミの侵入を極限まで防ぐドライヤー付エアブリーザ「KLシリーズ」を紹介した。水分・コンタミを含む空気が、充填された粒状シリカゲルを通過して除湿、ドライとなった空気を3μm β値200のろ過面積1825㎝2の性能を持つグラスファイバーフィルタエレメントでろ過、固形微粒子を徹底的に排除した上でステンレス製センターシャフトを通過して、きれいで乾燥した空気をシステムに送ることができる。電力関連から船舶関連、各種油圧機器や潤滑油機器など幅広い産業分野で採用されていることをアピールした。
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 また、建設機械や油圧機器などの整備などを手掛けるマルマテクニカ( http://www.maruma.co.jp/ )のブースでは、整備用設備機器として位置付けるオイルコンタミネーションコントロール機器を紹介した。中でも、採用の進んでいるインラインオイルコンタミモニター「ICM」を展示。油圧システムに組み込むことで作動油のコンタミの数や大きさを常時監視でき、作動油の汚染状況をチェックすることで作動油汚染による油圧システムのトラブルを未然に防ぎコスト削減につなげられることを謳った。オイルの状態を数値化してリアルタイムで監視、画面上でオイル清浄度、水分量、油温の確認ができるという。
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 日本トライボロジー学会( http://www.tribology.jp/ )のブースでは、同学会が日本機械学会に協力して行っているメンテナンス技術者資格制度について紹介した。ISO18436-4準拠「機械状態監視診断技術者(トライボロジー)」資格認証制度は、トライボロジーに関する基礎理論を理解し、潤滑剤の選定、分析、異常判断、管理を行うことができる技術者の資格と能力の認証を目的とし、また、ISO 18436-2準拠「機械状態監視診断技術者(振動)」資格認証制度は、携帯または常設センサおよび機器を用いた機械振動の測定・解析を行う技術者の資格を認証する。東京理科大学の野口昭治教授(写真左)は、「機械が致命的な故障に至る前に異常振動をとらえる振動法も有用で、ぜひ振動診断のスペシャリストを目指してほしい。一方、トライボロジーによる機械の状態監視診断は、油中の摩耗粉などを早期に検知して潤滑油の状態をチェックすることで、機械の損傷を未然に防ぐことができる。現場の設備メンテナンスの課題を早い段階で解決でき、トータルコスト低減や環境保全に導くことのできる、「機械状態監視診断技術者(トライボロジー)」の資格を有したトライボロジー・スペシャリストの活躍に期待したい」と述べた。
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