NTNが開発した移動型独立電源装置「N3 エヌキューブ」が三重県桑名市の防災拠点施設における非常用電源として採用された。
N3は2019年にNTNが開発した移動型の独立電源で、輸送用コンテナに風力・水力・太陽光の3種類の自然エネルギーによる発電装置と蓄電池を格納し、短時間で発電・電力供給を行うことができる。NTNはこれまで、大規模災害などによる停電時の非常用電源として自治体などを中心に本商品の提案を進めていたところ、桑名市が昨年秋に建設した「桑名市防災拠点施設」に採用されたもの。同施設は大規模災害時に、支援物資の集配送拠点となるなど、桑名市における災害応急対策の活動拠点となる場所。
今回桑名市に採用されたN3は防災拠点施設用モデルで12フィートと10フィートのN3を連結している。12フィートN3は上面と地面に設置した太陽光パネルで発電・蓄電することで施設内の設備に電力供給が可能。また、N3内はエアコンを24時間稼働させることで、温度管理が必要な支援物資や医薬品などを保管する防災用備蓄倉庫として使用できる。10フィートN3は同社が開発した高効率な風車と太陽光パネルを搭載し、同じく電力供給できるほか、12フィートN3から切り離して、近隣の被災地などにトラックで移動させ、現地の非常用電源として使用することも可能。どちらのN3も大規模災害後の使用に耐えられるよう、震度7クラスの地震に対する耐震性を備えている。
3月7日に桑名市による同防災拠点施設の運用訓練が実施され、施設運用マニュアルの点検や関係する防災計画の検証のため、関連企業とともに同社も参加。同社が担当した訓練は、災害後に医療拠点を開設するという想定で行われ、N3の風車や太陽光パネルを展開し、発電したエネルギーで電動ポンプに電力供給を行い、エアテントを設置した。防災に関する専門家として訓練を評価した三重大学の川口淳准教授からは「24時間稼働し、医薬品などを保管できることは非常に重要で、こういったものが地域にあると大変有益である」とのコメントがあった。
同社では今後も、自然エネルギー商品の開発を進めるとともに、再生可能エネルギーを活用した防災・減災に役立つ発電ソリューションの提案を進めていく考えだ。