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SEMICON Japan 2024

 

NTN、自動車用「クリープレス軸受」を開発

 NTNは、軸受の外輪外径面に独自開発の逃げ部加工を施すことで、クリープの停止を実現した「クリープレス軸受」を開発した。自動車用トランスミッション、EV・HEVモータ軸支持用深溝玉軸受として提案を進め、耐クリープ軸受全体で2025年度に10億円/年の販売を目指す。

NTN クリープレス軸受
クリープレス軸受

 

 近年、EV・HEVを含む自動車の省燃費化や省電費化に向けて、モータやトランスミッションなどの小型・軽量化の要求が高まっている。それに伴い駆動装置に使用される軸受の軌道輪やハウジングを薄肉にする傾向にあるが、それらの変形によって固定した外輪が円周方向に回転してずれる「クリープ」という現象が発生する場合がある。

 クリープは、回転方向と現象によっていくつかの種類に分けられるが、特にトランスミッション内で一定方向の重荷重がかかる軸受においては、外輪やハウジングの剛性が不足した場合、外輪のひずみにより本来動くはずのない外輪が円周方向に回転する「進行波型クリープ」が起きやすくなる。同現象が発生すると、外輪とハウジングのはめあい面の摩耗により軸の芯ずれや傾きが大きくなり、装置の異音や振動、または摩耗粉による軸受の寿命低下などを引き起こすことがある。

 今回同社が開発したクリープレス軸受は、これまでのクリープ対策とは全く異なる手法で、外輪のひずみにより発生する進行波型クリープを停止させることに成功したもの。

 クリープレス軸受は、外輪外径面の一部に逃げ部を設け、ハウジングとの接触を回避する設計としている。これにより、一定方向荷重が負荷される条件において、ひずみの進行波を遮断し、重荷重でも進行波型クリープを停止させることが可能となる。追加部品が不要なため、組み付け性に優れており、同一寸法の標準軸受からの置き換えも可能となっている。

NTN クリープレス軸受 構造
構造

 

NTN クリープレス軸受 クリープ速度試験
クリープ速度試験

 

 今後、EV・HEVの普及に伴い、自動車部品の小型・軽量化がますます加速する中、耐クリープ軸受のニーズはさらに高まると見られており、NTNでは、本開発品のほか、クリープ現象やクリープ摩耗を防止できる「膨張補正深溝玉軸受」、「AC軸受」、および「クリープガード軸受」による商品ラインナップによって、こうしたニーズに対応していく。

 同社では、モータやトランスミッションの小型・軽量化に伴うニーズに対応した商品の開発・提供を通じて、自動車の電動化、省電費、省燃費化に貢献していく考えだ。