NTNは、車載用各種アクチュエータの電動化に対応する薄肉で軽量な「中空ボールねじユニット」を開発した。
同品は、転がり抵抗の少ないボールねじを採用することで、すべりねじに対して2倍にあたる推力変換効率70%以上を実現し、またねじ軸を中空にすることで、無段変速機構(CVT)のプーリ駆動機構との同軸配置が可能になる。さらに、中空ねじ軸にねじ溝とボール循環溝を同時に切削加工することで、ナット側に設けるS字状のボール循環溝を備えた「こま」と呼ばれる別部材を不要とした。「こま」を廃止することで、ナットの薄肉化と軽量化を実現している。
この結果、電子制御式CVTの駆動機構に同品を採用することで、プーリ駆動に伴う動力や電力の損失を低減できるとともに、同軸配置によるCVTの小型化が実現可能。また、車両の軽量化・省燃費化につながる。
同社では今後、CVTをはじめとして自動車や二輪車に搭載される各種アクチュエータの電動化が拡大すると予想しており、中空ボールねじや中空ボールねじを用いたアクチュエータユニットを広く提案していく。
自動車用トランスミッションの一つで、近年採用が増加しているCVTには、プーリ幅を調整する駆動機構に油圧ポンプが使われている。しかし、油圧式CVTは、駆動にかかる動力損失が大きく、小型化にも課題があったという。また、油圧式CVTに比べて細かな変速制御が可能な電子制御式CVTは、駆動機構にすべりねじが用いられるが、すべりねじの推力変換効率が低いため、多くの電力を消費する課題があったという。