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SEMICON Japan 2024

 

日本粉末冶金工業会、平成28年度工業会賞を発表

 日本粉末冶金工業会はこのほど、「平成28年度日本粉末冶金工業会賞」を発表した。同賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設、2016年度で38回目となる。

 同賞は、工業会事業に貢献した個人を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」からなる。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与している。また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰している。

 今回は新製品賞・デザイン部門、新製品賞・材質部門、新製品賞・製法開発部門、奨励賞から受賞企業が選出された。受賞一覧は以下のとおり。

新製品賞・デザイン部門

ポーライト「内径にディンプルを付与した高効率モータ用焼結含油軸受」「内径にディンプルを付与した高効率モータ用焼結含油軸受」ポーライト
 規則正しい高精度なディンプル加工をφ5mm以下の内径に形成し、かつ内径精度に影響を及ぼさないように内径精度を同時に再仕上げ加工することにより、従来のボールベアリングの摩擦係数に近づけた点について新規性・独自性が評価された。また、ボールベアリングに対し半分のコスト削減により、今後の市場拡大が期待できる点が評価された。

NTNアドバンストマテリアルズ「複層焼結含油軸受の開発」「複層焼結含油軸受の開発」NTNアドバンストマテリアルズ
 仕切り治具の開発により建設機械用の大型軸受を摺動性、耐摩耗性を向上させた内層材、強度、靱性を向上させた外層材の2層構造にすることで浸炭焼入れの廃止、切削加工の廃止に繋げた点について新規性、独自性が評価された。なお、本製品は原料の変更・工程省略により従来焼結品に対し30%のコストダウンを図っている。

NTNアドバンストマテリアルズ「昇圧装置用ハイブリット磁性材リアクトルコアの開発」「昇圧装置用ハイブリット磁性材リアクトルコアの開発」NTNアドバンストマテリアルズ
 高周波用途と小型化を両立させるためアモルファス圧粉材とアモルファス射出材をハイブリッド構造とすることで最適な磁気特性を実現している点について新規性、独自性が評価された。また医療機器という粉末冶金にとっての新市場を開拓したことに加え、PHEV車やEV車の車載用コアにも展開可能な技術である点が、業界への貢献度として評価された。

新製品賞・材質部門

ファインシンター、トヨタ自動車「耐擬着摩耗性を向上したマトリックス強化型バルブシート材料」「耐擬着摩耗性を向上したマトリックス強化型バルブシート材料」ファインシンター、トヨタ自動車
 硬質粒子とは別に微細硬質物をマトリックス中に分散させて素地強化させ、耐凝着摩耗性を改善した点は新規性・独自性があり、微細硬質粒子の添加により品質・コストを大きく改善できた点と高排気量、高負荷エンジンへの採用により15万個/月の生産量を達成しており、今後のさらなる展開が期待できる点が評価された。

新製品賞・製法開発部門

住友電気工業「穴と溝の同時成形体加工と2次元コード付与を実現したVVT部品生産ライン」「穴と溝の同時成形体加工と2次元コード付与を実現したVVT部品生産ライン」住友電気工業
 多数個穴、複数溝のワンチャック成形体加工および成形プレスと同期させタッチレス、ストックレスラインで生産。さらに品質保証度向上のために成形体に2次元バーコードを付与するなど斬新なアイデアに満ちている点について新規性、独自性が評価された。また、成形体加工を月産20万個という大規模な生産を行っている点が業界に対する貢献度として評価された。

奨励賞

住友電気工業「非連続面にレーザ焼入れを行った多段複雑形状サイドプレートの開発」「非連続面にレーザ焼入れを行った多段複雑形状サイドプレートの開発」住友電気工業
 新しいスプリング機構が付与されたVVT用複雑形状のサイドプレートを客先設計との積極的なデザイン・インを行うことで多段成形による複雑形状の型出しと非連続面へのレーザ焼入れを組合せることで実現した点について新規性、独自性が評価された。またアルミ鋳造品から鉄系焼結品へ置き換えができた点が業界に対する貢献度として評価された。