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第9回ものづくりワールド名古屋

 

大同メタル工業、日産に燃費対応エンジン軸受を納入

 大同メタル工業は、日産自動車から 2018 年量産開始予定の可変圧縮比(VCR)技術を搭載した VC-Tエンジンについて、主軸受、大小端軸受に加え、可変機構の各種リンク部分の軸受も含めたエンジン用軸受一式を受注した。

 VC-T エンジンは、エンジンの主運動系にマルチリンク機構を採用し、運転シーンに応じて圧縮比を変化させることで、燃費低減と高い動力性能を実現できる。このマルチリンク機構は、ピストンとクランクシャフトをつなぐ従来のコネクティングロッドに代わって、三つのリンクから構成されるマルチリンク(U リンク、L リンク、C リンク)をモーターで駆動し、ピストンの上下する位置を制御することで、圧縮比を無段階に変化させることができる。
VCR可変機構の概要VCR可変機構の概要

 既存の同クラスエンジン(2L、直列 4 気筒)の圧縮比は 11.2 で固定されているのに対し、VC-T エンジンでは、燃費性能を確保したい低負荷域では圧縮比 14、高出力を必要とする高負荷領域では圧縮比 8などといったように無段階にコントロールすることが可能で、従来相反すると考えられてきた要求を一つのエンジンで実現した。熱効率はガソリンエンジンでは最高水準となる約 40%にまで達する。

 エンジンケース内にリンク構造一式を収めるため、各部品寸法、形状が制約され、軸受に掛かる負荷、潤滑状況とも厳しくなったが、独自開発の鉛フリー材料を適用し、さらに、一部の部品においては軸受形状も工夫することで、総合的に充分な耐久信頼性を確保することに成功した。VC-T エンジンに使用される軸受の個数は、VCR 技術を持たない既存の同クラスエンジン(2L、直列4気筒)に比べ2 倍以上であり、月産約100 万個にもなることが見込まれている。
軸受の使用箇所軸受の使用箇所

 大同メタル工業では、今回受注した軸受の生産についてすでに量産を開始、生産拠点も順次グローバル展開していく。