NTNは、独自の空冷技術を採用し、グリース潤滑軸受の高速回転性能と剛性を約10%高めた工作機械主軸用「空冷間座付グリース潤滑軸受」を業界で初めて開発した。これにより、グリース潤滑軸受の高速回転の使用限界を従来のdmn(dm(転動体中心径mm)×n(回転速度min-1))値140万から160万まで高めることができる。従来はエアオイル潤滑が必要であった高速のマシニングセンタや複合加工機などに、価格面や環境面でメリットのあるグリース潤滑軸受が使用できるようになる。
工作機械主軸用「空冷間座付グリース潤滑軸受」
近年、工作機械は複雑な形状の部品や、チタンなどの難削材の加工が増加しているほか、生産性向上の要求も多く、1台で複数の加工機能を持つ5軸加工機や複合加工機のニーズが増えている。これに伴い、主軸用軸受には従来品を上回る高速回転性能と剛性が求められており、特に潤滑油のタンクや供給装置などが不要で環境に優しいグリース潤滑での実現が強く求められている。しかし、グリース潤滑軸受を高速回転させる場合、軸受の発熱が大きくなり、グリースの劣化を早めるため、回転中の発熱を低減することが課題となっていた。
この課題を解決するため、同社は2016年に商品化したエアオイル潤滑の「工作機械主軸用空冷間座付軸受」の技術を応用し、グリース潤滑軸受として新規に開発したもの。
開発品は軸受、内輪間座、外輪間座で構成。外輪間座には「空冷ノズル」を設けており、このノズルから冷却用の圧縮空気(空冷エア)を内輪間座に向けて噴射することで、内輪間座や隣接する内輪を冷却できる。これにより、空冷エアを供給しない場合の従来品に比べて軸受の高速回転性能と剛性を約10%高めることが可能。
開発品の構造
今後、加工工程の集約による生産性向上と環境負荷低減の要求が一層高まることが予想される中、NTNでは高速回転性能と高剛性を両立し、低発熱をより高いレベルで実現するグリース潤滑軸受を提供していく考えだ。
NTNは、本開発品を11月1日~6日に東京ビッグサイトで開催される「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」に参考出展し、工作機械メーカーやスピンドルメーカーに提案していく。