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SEMICON Japan 2024

 

第23回機械要素技術展が開催、最新のベアリング・モーション機器が展示

 「第23回機械要素技術展(M-Tech)」(主催:リード エグジビション ジャパン)が2月6日~8日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。同展は、ベアリング・直動案内機器、ダンパー、ばねなどの機械要素や、金属、樹脂に関する加工技術を一堂に集めた専門技術展。

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 ベアリング・モーション機器関連の新技術としては今回、以下のような展示が見られた。

 イグスは、可動ケーブルを支持案内・保護するケーブル保護管「エナジーチェーン」のケーブルキャリア本体にプリントされたQRコードをスマートフォンやタブレット端末でスキャンすることで、「エナジーチェーン」の製品情報や組立て説明、交換パーツに関する情報を得ることができるQRコード付き「エナジーチェーン」を展示した。また、リアルタイムで動作状況をモニターし、異常報告だけでなく、測定した摩耗量をデータベースと比較することにより、正確な寿命予測や計画保守用交換時期の情報を知らせ予知保全につなげる「スマート・プラスチック」を動態展示した。

イグス QRコード付き「エナジーチェーン」イグス QRコード付き「エナジーチェーン」

 NSKマイクロプレシジョンは、参考出品としてミニチュアボールベアリングを使用した「トラクション減速機」の開発品を展示した。ミニチュアベアリングを使用することで軽量・コンパクトでエネルギーロスの少ない減速機を実現。低騒音・低振動で、減速費10:1、高回転を実現できる。ドローンやロボットなどへの適用を提案した。

NSKマイクロプレシジョン 「トラクション減速機」NSKマイクロプレシジョン 「トラクション減速機」

 オイレス工業は、軸受摩耗量を目で見て予知保全につなげるカスタマイズ提案を行った。すべり軸受の摩耗は目に見えないため分解して取り出したすべり軸受を測定して摩耗量を評価するという固定概念を覆す、「点検の簡素化」を図る手法として、固体潤滑剤分散型焼結複層軸受「#2000プレート」に深さ違いの溝を2本付け、軸受摩耗量を可視化。軸受摩耗量として、溝が1本になったら交換準備(在庫発注)、溝がなくなったら交換といった具合に2段階で知らせる。ユーザーの要求寿命や要望に応じて、溝の深さや位置、本数などを変更したカスタマイズに対応することを謳った。

オイレス工業 深さ違いの溝を2本付け軸受摩耗量を可視化した固体潤滑剤分散型焼結複層軸受オイレス工業 深さ違いの溝を2本付け軸受摩耗量を可視化した固体潤滑剤分散型焼結複層軸受

 空スペースは先ごろ、保持器を持たない自律分散式転がり軸受「ADB」について、鹿島化学金属の得意とする特殊環境下で使用できるプラスチックやセラミックなど非軸受鋼の材質を用いたADBの開発・販売を共同で進めていくことで技術提携することを決めたが、今春から販売開始予定の耐水・耐薬品性に優れるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を用いた内径φ8~φ30のADB(受注生産、納期:受注後1ヵ月)を披露した。

空スペース PEEK樹脂を用いた「ADB」空スペース PEEK樹脂を用いた「ADB」

 黒田精工は、高負荷、高速、コンパクト化を実現する「サイドデフレクタ™方式ボールねじAシリーズ」を展示した。ユーザーニーズに基づいたナット胴部径とねじ軸径に最適なボール径と循環数を採用し定格荷重に配慮し、高負荷容量で長寿命を実現する。サイドデフレクタ™方式の採用で、近年の自動化ニーズ、高タクト化ニーズに合わせ、最高回転速度、DN値を大幅に向上し高性能化するモータの性能に追従する。ナット外径とフランジ部をコンパクト化し、同社従来品比約30%の小型化、最大約50%の軽量化を実現、装置の小型化や装置内の空間の拡大に貢献できることをアピールした。

黒田精工 「サイドデフレクタ™方式ボールねじAシリーズ」黒田精工 「サイドデフレクタ™方式ボールねじAシリーズ」

 ケーエスエスは、ミニチュアボールねじスプライン(BSSP)を応用し、直動(Z)、回転(θ)、吸着(Vacuum)の三つの機能を一つの製品で実現したユニット製品「複合機能 高速タイプ VZθアクチュエータ」を展示した。ステッピングサーボモータ採用で従来機より高速・低振動運転が可能となったほか、モータにドライバ、コントローラも搭載しているため、装置全体の小型化にも寄与する。

ケーエスエス 「複合機能 高速タイプ VZθアクチュエータ」ケーエスエス 「複合機能 高速タイプ VZθアクチュエータ」

 大同メタル工業では、キャパシタ・リチウムイオンキャパシタ用電極シート「デルエコー」を展示した。同電極シートは、バインダーとして四フッ化エチレン樹脂(PTFE)を使用。さらに自動車・船舶・一般産業機器用軸受の量産製造技術で培った成形・圧延・接着技術を活用し、高密度・高精度で優れた耐久信頼性を持つ電極シートを生産、提供するもので、①成形、圧延、接着技術など軸受量産製造技術をベースとした製法により、コーティング方式と比べ8~20%高密度な電極が得られる(同社内比)、②高密度で自由な厚さ寸法の設定が可能で、用途毎に最適な容量の電極が製作できる、③材料組成比の自由度が高く、活物質の含有率を高めることが可能、④不純物混入に対する徹底した工程管理により、優れた耐久性を実現する、といった多くの特徴を持つことをアピールした。

大同メタル工業 「デルエコー」大同メタル工業 「デルエコー」

 ドゥリマイテック(DURI MITEC)は、軸とハブを接続させて高トルクの動力を伝達できるロッキングエレメントや、精密研磨ロックナットなどを展示した。精密研磨ロックナットは、ねじ山の形状を研磨した後、同じチャッキング状態で、同時に端面研磨まで行うことで極めて高精度で直角度を厳密に保持。すべてのねじ山を同時研磨加工しているため、ねじ面加工部にバリが発生しない、と謳った。また、様々な軸の固定方法を選ぶことが可能なカップリング製品については、材質が腐食しにくく軽量・高剛性のアルミニウム合金(ジュラルミン)製の製品を紹介、より軽量でイナーシャの小さい回転システムを構築できることをアピールした。国内では、エバオンが販売代理店として拡販していく。

ドゥリマイテック 「ロッキングエレメント、精密研磨ロックナット、カップリング」ドゥリマイテック 「ロッキングエレメント、精密研磨ロックナット、カップリング」

 日本ベアリングは、転動体にニードルローラーを採用したことにより、高剛性・高運動精度・高減衰性を実現したローラーガイド「EXRAIL」を紹介した。ローラー同士の競り合いを防ぐリテーナーや長期メンテナンスフリー機構も内蔵している。また、ローラーとそれを案内する軌道体にスリップ防止機能を持たせ作動中におけるローラースリップの防止を実現した新発想のNV形スタッドローラーシステム(鋲付ローラー構造)によって、軌道台と転動体のスリップがなく昇降やタクトの速い動作に最適なスライドウェイ「NV形」、さらには、1本にボールねじとスプラインの軌道溝を設けた軸と高剛性で高精度なボールねじナットとボールスプライン外筒で構成された「NBボールねじスプライン」を展示した。

日本ベアリング 「EXRAIL」日本ベアリング 「EXRAIL」

 ハイウィンは、レール溝形状を接触角DB構造にすることでローリング方向のモーメント荷重を従来品の約2倍に向上させた「耐高モーメント壁掛け専用リニアガイドウェイCGシリーズ」を紹介した。カバーストリップ(レールカバー)装着により防塵性がUPし悪環境での使用に最適。また、最短1週間の短納期で低コストながら、最高速度5000mm/s、分解能0.1μm、繰り返し精度±1μmを実現する短軸リニアモータ 位置決めステージ「SSA」を展示した。要望に合わせた仕様が選定できるほか、オプションで同社製HIMCコントローラを組み合わせることが可能。

 ハイウィン 「耐高モーメント壁掛け専用リニアガイドウェイCGシリーズ」 ハイウィン 「耐高モーメント壁掛け専用リニアガイドウェイCGシリーズ」

 ボッシュ・レックスロスは、半導体製造ラインや有機EL/液晶パネル製造ラインなど、高速で高精度な位置決めが必要とされるアプリケーションに最適なマグネット式リニア搬送システム「フレキシブル トランスポート システム(FTS)」を展示した。インバータ駆動などの従来の搬送システムと比べ搬送精度・位置決め精度が高く、最大32台の搬送パレットの各方向や速度を設定可能で各パレットを任意の場所で停止できる。機械構造を荷重や環境に合わせて自由に選択できる仕組みを持ち、搬送に必要な駆動力に合わせて様々なモータを選択できるなど、ユーザーが必要とする環境や条件にフレキシブルに対応できるシステムであることをアピールした。

ボッシュ・レックスロス 「フレキシブル トランスポート システム(FTS)」ボッシュ・レックスロス 「フレキシブル トランスポート システム(FTS)」