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SEMICON Japan 2024

 

ジェイテクト、JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSと駆動モーター冷却・潤滑用電動オイルポンプが日産EVアリアに採用

 ジェイテクトの「JFOPS (JTEKT Fail-OPerational System)4採用第2世代内製MCU (Motor Control Unit)搭載 電動パワーステアリング(EPS)」と「電気自動車(EV)駆動モーター冷却・潤滑用 電動オイルポンプ(EOP)」が、日産自動車の「新型EVアリア」に採用された。 今回新型EVアリアに採用されたEPSは、第2世代内製MCUに、同社が先進運転支援システム(ADAS)レベルに応じた安全性を備えるEPSを提供すべく設定した安全コンセプト(Level 0~4を定義)の最上位である「JFOPS4」を採用したもので、MCUを自社開発することで自動車メーカーのニーズにスピーディーでフレキシブルな対応が可能であることに加え、「JFOPS4」によってこれまで以上に高い安全性を確保している。

 操舵感向上のためトルクフィードバック機能を取り入れた新世代のEPS制御「JWill」により、緻密なチューニングで幅広いユーザーの操舵感へのこだわりに応えることが可能なほか、JFOPS4の採用により万一ステアリングMCUに故障が発生した場合でもアシスト継続が可能で、高い安全性を確保する。

ジェイテクト JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSのイメージ bmt ベアリング&モーション・テック
JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSのイメージ

 

 一方、EVの電費向上に直結する駆動モーターの小型・高出力化が進む中、高出力のモーターは発熱量が大きくなるため、さらなる冷却効率向上が必要不可欠とされていることから、同社では、駆動モーターを直接冷却するとともに、駆動モーターの回転軸に使用される軸受の潤滑を担う油冷方式のEOPを開発した。

 モーターの冷却方式は一般的に使用する冷媒の種類によって空冷、水冷、油冷に分類されるが、EVでは駆動力の供給源が駆動モーターのみであることから、駆動モーターに連続作動が必要とされるため、効率的な発熱の抑制と高い放熱性が課題となっていた。今回採用した油冷方式は、水冷と異なり、駆動モーターの発熱部位に直接通油して冷却できるため、効率良く高い冷却効果が得られる。

 EOPの構造には、ECU(Electronic Control Unit)・モーター・ポンプが一体のものと、ECUが別体のものがあるが、今回、三位一体構造を採用したことで、ECU別体と比較して小型化・省スペース化による車両への搭載性の向上及び部品点数削減によるコストダウン、軽量化を実現できる。

 また、車両駆動モーターの高温時には主に冷却用途として多くのオイル供給が必要となるが、気温が低くなる極寒冷地では駆動モーターの軸受潤滑用途として使用される。この幅広い温度範囲においてはオイルの特性は低粘度から高粘度まで大きく変化する性質を持つため、あらゆる温度状態でも安定したオイル供給を可能とする技術が必要とされる。

 今回新型EVアリアに採用となったEOPでは車両の油温情報からEOP内部の制御パラメータを変化させ、EOPのモーター回転数を適切にコントロールすることで、消費電力を抑えながらオイルをポンプで汲み上げる最適制御を実現した。

 さらに、開発したEOPは駆動モーターの冷却だけでなく、軸受の潤滑も担う。駆動モーターの冷却回路と潤滑回路の両方にオイルを供給することで軸受の摩耗を低減し、駆動モーターの高回転を支える。

ジェイテクト 電気自動車駆動モーター冷却・潤滑用EOP bmt ベアリング&モーション・テック
電気自動車駆動モーター冷却・潤滑用EOP

 

 ジェイテクトでは、「自動運転の急速な普及を見据え、JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSなど、ステアリングシステムの安全性・信頼性をさらに高めたEPSを世界各国のユーザーに提供していく。また、EOPを通じて、極寒冷地を含むグローバル市場で、駆動モーターの小型・高出力化による電費の向上と航続距離の延長に貢献していく」とコメントしている。