日本食品機械工業会は、6月4日〜7日、東京都江東区の東京ビッグサイトで、「Breakthrough FOOMA」をテーマに47回目となる「FOOMA JAPAN 2024」を開催した。
食品産業界は現在、食品の安全・安心の提供はもとより環境に配慮した持続可能な食品産業の発展、食料安全保障の確立、生産性向上、労働力確保、海外展開の促進等さまざまな社会課題を抱えている。そうした中で今回の開催テーマでは、本展が達成したこれまでの成果を礎に、ブレークスルーしたFOOMA JAPANが、食品機械産業界及び食品産業全体の持続可能な産業基盤を保持させ、より一層の発展に寄与していくという決意を表した。
本展では「食の安全・安心」という基本を堅持し、生産性向上や高効率のための技術、自動化、省人化を図るロボット、AIなど最先端テクノロジーと最新鋭の製品・サービスが披露されたが、ベアリング&モーション技術関連では、以下のような展示がなされた。
ファナックは、食品・クリーン仕様のロボットによる自動化、省人化を提案。協働ロボット「FANUC Robot CRX(食品対応仕様)」は、耐環境性の高い米国FDA認証の白エポキシ塗装を施しているほか、NSF H1認証の食品対応潤滑油が使用されているが、オペレータが軽い力でロボットを直接動かして作業をロボットに簡単・正確に再現できるよう教示する「ダイレクトティーチ」機能によって、サイクルタイムを圧縮できるとした。また、やわらかいゴム製の指を使用したSoft Robotics社製のロボット用ハンド「Soft Gripper mGrip」を装着した食品仕様のパラレルリンクロボット「FANUC Robot DRシリーズ」とスカラロボット「FANUC Robot SR」を用いて、やわらかく不定形の食品を協調ハンドリングするデモンストレーションなどが行われた。
新東工業は、各軸(X、Y、Z)の力荷重と、各軸周りのモーメントを高精度で検出、ロボットに人間の手首のような力感覚である力覚を付与し、高度な自動化を可能にする6軸力覚センサ「ZYXer®」を紹介した。多くの応用用途の中で今回は、食品などを「運びながら計る」重量測定ソリューションを提案した。ロボットに装着することで食品などを高速で持ち運びながら、力検知を活用して重量を測定して箱詰め、計量不良品の排出までを一貫で自動化できる。水平・垂直方向の動作不要で搬送中に正確に計量を行えるため、サイクルタイム改善と省スペース化が可能。ZYXer®はそのほか、食材のカットなど、ロボットはもちろん装置の力制御にも応用できる。
大同メタル工業は、市販の360°カメラで撮影した現実の写真や動画をクラウドにアップロードするだけでVRコンテンツを簡単に作成できるクラウドソフト「製造業のためのVRクラウドソフト」を紹介した。「文章中心のマニュアルで伝わりづらくOJT頼みになっている」、「教育者が講義工数増加による負担増」、「人によって教え方がバラバラでルールが遵守されない」といった研修での課題に対して、VR導入による解決を提案。コンテンツ作成の不安や悩みは同じ製造業でありユーザーでもある同社が伴走型サポートによって解決するとアピールした。新人作業研修、作業手順書作成、安全教育、異常処置訓練、工場見学など、さまざまな用途に柔軟に対応できる。
COCは、ステンレス製玉軸受ユニット「サニライン」を展示した。無給油でメンテナンスフリーの上、防塵・防水保護性能規定「IP69K」の認証を国内で初めて取得、高圧洗浄にも対応する。独自のロック構造「オクロック」でシャフトを傷つけず、機械から12mmの隙間を確保するスタンドオフハウジングによる定置洗浄が可能。金属探知機に反応するステンレス製の安全カバーはワンタッチで簡単に脱着可能で、食品衛生管理基準「HACCP」の要求に応えた食品衛生とプラスチック材料を一切使わない環境対策に則している。ブースでは、スタンドオフハウジングによる定置洗浄のデモが行われた。
サーフテクノロジーは、異物混入対策の独自微粒子投射処理「MD®(マイクロディンプル®)処理」と、PFAS対策となるフッ素樹脂コーティング代替のシリコーン系コーティング「Infinity」を展示した。MD処理は、独自の微粒子投射処理でコーティングではないため、はく離などの異物混入がなく、粉体や包装品の付着抑制、滑り性向上に効果的で、食品製造での採用が進んでいる。また、Infinityは食品業界で実績のある非粘着・耐摩耗性を付与するLibelte製の、フッ素を含まないシリコーン系コーティングで、粘弾性食品やテープ糊等の付着抑制に優れている。