メインコンテンツに移動
SEMICON Japan 2024

 

NTN、工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けに高速回転に対応する樹脂保持器を開発

 NTNは工作機械主軸用のグリース潤滑軸受向けに、射出成形が可能な樹脂保持器としてdmn 値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))が135 万と業界最高水準の高速回転性能を実現する樹脂保持器を開発した。生産性に優れた成形樹脂保持器の高速回転化により、グリース潤滑軸受の適用範囲をさらに拡大し、工作機械の加工時間の短縮や省エネルギー化に貢献する。

 本保持器を同社の「ULTAGE(アルテージ)シリーズ」を含む工作機械用のグリース潤滑軸受に適用し、エアオイル潤滑軸受からの切り替えをグローバルに提案。工作機械主軸(複合加工機、マシニングセンタ、旋盤) 向け軸受として、2026年度に1.5億円/年の販売を目指す。

 同社ではまた、保持器以外にもグリースなど軸受を構成する各要素における開発を進め、グリース潤滑軸受の一層の高速回転対応を追求することで、各種製造現場の生産性の向上と省エネルギー化に貢献していく。

NTN 工作機械主軸用グリース潤滑軸受用高速対応樹脂保持器 工作機械主軸用グリース潤滑軸受 bmt ベアリング&モーション・テック
工作機械主軸用グリース潤滑軸受

 

NTN 工作機械主軸用グリース潤滑軸受用高速対応樹脂保持器 工作機械(マシニングセンター)と主軸 bmt ベアリング&モーション・テック
工作機械(マシニングセンター)と主軸

 

 加工時間の短縮に向けて、工作機械の高速回転化が進む中、工作機械の主軸用軸受にも高速回転性能が求められている。主軸用軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があり、一般的に高速回転に適しているのはエアオイル潤滑とされている。しかし、エアオイル潤滑はエアオイルの供給やオイルミストの回収などのための付帯設備が必要となるため、近年は省エネルギー化を目的としてグリース潤滑への切り替えが進むとともに、グリース潤滑軸受の高速回転対応へのニーズが高まってきている。

 これに対し同社では、材料と設計を最適化することにより、グリース潤滑軸受の高速回転対応が図れる生産性に優れる成形樹脂保持器を開発したもの。

 開発品の特長は以下のとおり。

1.dmn値135万(同社従来品比20%向上)と、成形樹脂保持器として業界最高水準の高速回転性能:解析や回転試験、強度試験を重ねて耐熱性の高い材料を採用することにより、高速回転に伴う発熱による変形を抑制。本保持器は高速回転環境下においても十分な耐久性を有し、成形樹脂保持器を用いた軸受として業界最高水準となるdmn値135万の高速回転性能を実現し、成形樹脂保持器で従来は対応できなかった高速回転領域への適用が可能となり、エアオイル潤滑からグリース潤滑への切り替えを後押しする

2.長寿命化:本保持器は、形状を最適化し、軸受取り付け後の初期回転時のグリース挙動を制御することで、慣らし運転を含めた温度上昇を抑制し、長寿命化を実現

 

NTN 工作機械主軸用グリース潤滑軸受用高速対応樹脂保持器 構造 bmt ベアリング&モーション・テック
構造

 

NTN 工作機械主軸用グリース潤滑軸受用高速対応樹脂保持器 軸受の転走面におけるグリース挙動解析のイメージ bmt ベアリング&モーション・テック
軸受の転走面におけるグリース挙動解析のイメージ

 

NTN 工作機械主軸用グリース潤滑軸受用高速対応樹脂保持器 限界速度による開発保持器の耐久性評価 bmt ベアリング&モーション・テック
限界速度による開発保持器の耐久性評価