シェフラーグループは、ドイツのシュヴァインフルトにあるシェフラーグループインダストリアルの鉄道用ころがり軸受試験施設が、ロシア連邦の輸送機関で使われるころがり軸受の試験機関として認定されたと発表した。
ロシア国外でこの認定を受けたラボは、同施設を含めて2ヵ所のみ。ロシアの法律ではこの種のラボには認証が必要となり、鉄道関連認証試験は認定された試験センターで適切な条件に従って実施されなければならないとされている。
今回の認定を受けるため、シェフラーグループの鉄道セクターマネジメント部門とコーポレートエンジニアリング部門はロシア連邦の代表者と2年間にわたって密接に協議を重ねてきた。認定を受けた後、最初の認証作業としてシーメンスの「DESIRO RUS」プロジェクトに使われるFAG TAROLベアリングのテストが始まっている。「DESIRO RUS」は2014年のソチ冬季五輪に合わせて運用開始が予定されている鉄道用車両。加えて、ロシア市場向けのEP20型200デュアルボルテージ機関車用としてFAGの円筒ころ軸受の認証試験も実施中。
シェフラーグループインダストリアルは、シュヴァインフルトの鉄道用試験施設内に鉄道アプリケーション用軸箱軸受の性能評価を行える幅広いテストスタンドを揃えている。特殊な軸箱軸受用テストスタンドでは時速500kmまでの走行速度をシミュレートできる。すべてのテストスタンドは、欧州規格12082の要求条件に適合したテストランの実施が可能。欧州規格に準拠した機能試験は、実際の運行に使用する軸箱軸受の適格性認証として利用される。
たとえば、オリジナルハウジングに格納された複列円すい・円筒ころ軸受は、主に鉄道用軸受テストスタンドAN55で試験される。このシステムは一定のラジアル荷重下でアキシアル荷重を変化させて運転し、ラジアル荷重とアキシアル荷重に対する軸受の挙動、運転温度、グリース寿命に関するデータを集める。気流による軸箱軸受ハウジングの冷却(従って軸受の冷却)はグリースの寿命に大きく影響するため、テストスタンドには最大10m/sの風を起こせる気流シミュレーション設備も備わっている。
別のテストスタンドでは、水噴霧によって軸箱軸受とオリジナルハウジングの気密性が試験される。これはハウジング内に取り付けられた軸箱軸受に絶えず水を噴霧する試験で、静止状態と走行シミュレーション条件下の両方で行われる。