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SEMICON Japan 2024

 

NTN、軸受回転時の転動体や保持器の挙動や応力などの算出を可能にしたシステム

 NTN( http://www.ntn.co.jp )は、玉軸受やころ軸受に対応した動力学解析システム(Integrated Bearing Dynamic Analysis System、以下、IBDAS)を開発した。従来の解析や評価試験では不可能であった、軸受回転時の転動体や保持器の挙動や応力などの算出を可能にした。

 転がり軸受は、主に内輪、外輪、転動体および保持器で構成され、軸受の内外輪に作用する荷重は、転動体を介して支持されている。静止状態で転動体に働く力は、静力学解析により内外輪と転動体に対する力とモーメントの釣り合いから算出可能。しかし回転時における保持器の挙動や力は、静力学解析による算出は不可能で動力学解析が必要になる。

 だが、一般的に動力学解析は、数値計算量が膨大でかつ実施には軸受の各種データが必要で手順も煩雑であるため、設計への利用は極めて限定的で、これまでは保持器自体の応力は扱えなかったという。また、評価試験による保持器に作用する力の測定は、センシングの困難さから実用上不可能だった。

解析の流れ解析の流れ 今回開発したIBDASでは、これまでの静力学解析や評価試験では不可能だった軸受回転時における転動体や保持器の挙動や応力などの正確な計算を、「モード合成法」により解析可能となる。モード合成法は振動現象を解析する手法の一つで、固有値解析によって固有値(固有振動数)と固有ベクトル(固有振動モード)を求め、変動外力に対する構造物(部品)の応答を固有振動モードの重ね合わせとして求める。また独自の計算制御システムを構築することで、全ての種類の転がり軸受や複数軸受の組合せ解析、2次元、3次元の切替えも可能とし、操作性にも配慮している。

解析例解析例 同社では、すでに各種遊星減速機やエンジンなど、保持器に大きな接触力が作用する軸受用途で同品の活用を開始しており、今後も高負荷容量、長寿命·高信頼性、低トルク、コンパクト化など、顧客要求に応じた軸受仕様をより高精度で迅速に解析すると共に、設計·提案スピードを向上させていく。