NTN( http://www.ntn.co.jp )は、特殊組成配合の固体潤滑剤を使用して400℃までの超高温環境で使用できる「ULTAGE 超高温環境用深溝玉軸受」を開発した。
今回開発した軸受は、フッ素グリースに替えて、特殊組成配合の固体潤滑剤を採用すると同時に、内部設計の改良による潤滑剤の増量とその形状の最適化により、超高温環境下で従来の約2倍の長寿命化を実現した。また、シールド板と固体潤滑剤の間に位置決めリングを付与し、潤滑剤を回転方向に案内する構造とすることで、転動体(玉)と潤滑剤が理想的な接触状態で円滑に回転する。これにより、軸受軌道面への安定した潤滑剤供給のほか、回転トルクを約1/4に低減した。さらに、固体潤滑剤にコの字状金属カバーを装着することで、固体潤滑剤の消耗が進行した場合でも内外輪が分離しない構造としている。
現状、250℃以下の高温環境で使用される転がり軸受の潤滑剤には、フッ素グリースが使用されているが、250~400℃の超高温環境ではグリースの使用温度範囲を超えるため、転がり軸受ではなく、主にすべり軸受が採用されているという。一方、高温炉内で稼働するフィルム延伸機の延伸ガイドローラ用軸受には、生産性向上や消費電力削減を目的として、高速、低トルクとなる転がり軸受の要求が増えている。このほか、高温炉内設備の搬送ローラやガラス製造装置の成形工程部などに積極的に提案していく。