ジェイテクトは、各種産業や家電などあらゆる用途に使用されているモーター向け軸受について、軌道面性状の最適化により、回転時に発生する「人が耳障りに感じやすい音」を抑えた深溝玉軸受を開発し、量産を開始した。国内外の産業機械メーカーに提案、年間10億円の売上を目指す。
軸受に求められる機能の一つとして、「静かに耳障りなく回転すること」が挙げられる。 ロボット産業などでは、介護分野など人間により近いところで使われる用途が今後増加していくことが予想され、それに伴い「音質・音性能」への注目も高まっていくと見られている。
これに対しジェイテクトでは、軸受の音性能のキーワードとして、低騒音だけでなく良音質も重要と考え、従来の振動や騒音に着目した評価方法に加え、ラウドネスの指標を用いて人の感覚を反映する音評価を導入。その評価をもとに、人が耳障りと感じやすい成分が少ない良音質の深溝玉軸受を開発したもの。
開発品では軌道面の性状を従来よりも滑らかに仕上げることで、軸受の回転音に ついて、人の聴覚で聴こえる領域(20~20,000Hz程度)の中でも、特に良く聴こえ、耳障りと感じやすい領域(1,000~5,000Hz程度)の音を低減(従来比:-5dB)することに成功。同社ではモーター等の製品に組み込んだ状態での効果が期待できるとして、産業機械全般の良音質化に貢献していく考えだ。