NTNは本年8月末から、ドイツの製造会社NTN Kugellagerfabrik (Deutschland)(NTNドイツ製造)の子会社NTN Mettmann (Deutschland)で、海外初となる工作機械向け精密軸受の量産を開始する。現地生産化によって工作機械向けの納入リードタイムを短縮、売上拡大を狙う。
NTNドイツ製造
同社ではこれまで、桑名製作所(三重県桑名市)を中心に日本国内で精密軸受を生産していたが、工作機械の最大市場である欧州向けには日本からの輸送だけで通常2ヵ月程度を要し、タイムリーに顧客に納入できないという課題があった。
NTNドイツ製造は、1971年に日本企業として欧州で最初に設立された製造会社で、長年にわたり現地で培ってきた軸受生産のノウハウと、既存の建屋の一部を子会社として活用することで、高い技術力が必要とされる精密軸受の生産を可能にする。今回、ドイツで精密軸受の量産を開始することで、欧州市場において受注後3週間で商品の供給を実現する。
NTNでは納入リードタイムの短縮により、今後は顧客の要望にタイムリーに対応するとともにプレゼンスを向上させ、新たな顧客を獲得することで、本年4月からスタートした中期経営計画「DRIVE NTN100」の3年間で欧州市場における精密軸受の売上高を約3割拡大する計画だ。
ドイツで生産する精密軸受の特長は以下のとおり。
1)欧州でニーズの多いP42 精度級(寸法精度JIS4級、回転精度JIS2級の軸受)を中心とした高精度なアンギュラ玉軸受(外径35mm~)
2)多列組み合わせで使用されるアンギュラ玉軸受の平面差(正面側と背面側の内外輪端面の段差)を同一にする「フラッシュグラウンド加工」による汎用性の高いユニバーサル仕様(内径・外径寸法の相互差が管理された仕様で、正面、背面、並列いずれの組み合わせにも対応でき、すきま調整が不要)
精密アンギュラ玉軸受