イグスは、クリップベアリングおよびフランジベアリング用の材質として過酷な条件下でも大きな偏荷重に耐えられる「イグリデュールK230」を開発し、ラインアップに加えた。
クリップベアリングは板金を貫通する軸に使用するもので、両端にフランジが付いており、取り付け後の板金固定に適している。切込みが入っており、径を縮めて板金の穴に通し、取付け後に広がって穴にフィットする仕組み。
主に板金用フィードスルーとして使用され、自動車のシートの摩擦や騒音の低減につながっている。クリップベアリングには大きな偏荷重がかかるため、高い弾性と堅牢性が求められることから、同社ではこのほど、過酷な条件下でも大きな偏荷重に耐えられる新しい材質として「イグリデュールK230」を開発した。イグリデュールK230は抜群の弾力性や、耐薬品性、耐湿性を備えている。
また、樹脂製軸受の主要特性である耐摩耗性においても既存材質の中で上位に入る性能であることが、自社評価試験施設で確認された。130℃までの高温用途でも使用できることなどから同社では、自動車、包装機械、自動機などにおいて、今後クリップベアリングのさらなる採用が進むと見込んでいる。
イグリデュールK230の主要な性質は以下のとおり。
・密度:1.36g/cm3
・最大吸湿率:0.8重量%
・最大吸水率:2.9重量%
・体積抵抗率:>1012 Ωcm
・表面抵抗率:>1012 Ω
・弾性率:1600MPa
・圧縮強度:40MPa
・推奨最大許容面圧:38MPa
・ショアD硬さ:68
・長期使用最高温度:+110℃
・短期使用最高温度:+130℃
・最低使用温度:-30℃