スマートエネルギーWeek2019が2月27日~3月1日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。同展は、スマートグリッドや蓄電池をはじめ、燃料電池・太陽光・風力発電等の再生可能エネルギー、次世代火力発電にいたるまで、エネルギーに関するあらゆる技術・製品・システムが一堂に出展する展示会。
ベアリング各社では以下の展示があった。
国際風力発電展に出展した日本精工は、主軸や増速機、発電機に使われる軸受の信頼性を高め、メンテナンスの負担を大幅に減らすことができる技術や製品を展示した。
発電機用軸受としては、アルミナ系セラミック溶射材に最適な添加物を配合し、絶縁特性と機械的強度を大幅に向上した「セラミック溶射絶縁軸受」を紹介した。発電機用軸受では、回転中の軸受の軌道輪と転動体との接触部分に電流が流れた際に薄い潤滑油膜を通してスパークが発生してその表面が局部的に溶融し凹凸となる「電食」現象への対策が必要になる。新開発のセラミック溶射絶縁軸受は、一般のセラミック溶射軸受に比べて耐衝撃性が飛躍的に向上。優れた放熱性により、温度上昇が小さく、グリースの長寿命化に貢献し、発電機用軸受特有の電食から軸受を保護する。
セラミック溶射絶縁軸受
また、増速機用軸受としてはクロムを適量添加した独自の特殊材料と熱処理技術によるAWS-TF (Anti White Structure Tough)材の採用に加え、酸化被膜処理(黒染め処理)を組み合わせることで、耐白色組織はく離寿命を向上させる「AWS-TF™ 軸受」を展示した。風力発電機増速機用軸受に特有の早期損傷としては、潤滑剤が分解することで生じた水素が鋼中に侵入することによって金属組織の変化が引き起こされて生じる早期剥離「白色組織はく離」がある。新開発のAWS-TF™ 軸受は、上述の独自特殊材料の採用によって耐白色組織はく離寿命を軸受鋼に対し7倍以上に延長。酸化皮膜処理を併用することで、さらなる長寿命化を可能とし、メンテナンスコストの削減に貢献する。
AWS-TF™ 軸受
いずれの軸受も出荷可能な段階で、風力発電機メーカーに提案しつつ、当面は補修向けを中心に発電事業者での採用実績を増やしていく。
さらに、損傷状態を損傷サイズで定量的に評価し破壊力学をもとに損傷進展速度を予測でき、メンテナンス計画を最適化できる「風力発電用Condition Monitoring System」の技術紹介を行った。
国際二次電池展~バッテリージャパン~ に出展したジェイテクトは、蓄電デバイス「リチウムイオンキャパシタ」を紹介した。キャパシタは蓄電容量が限られるものの一度に高いエネルギーを放出する瞬発力が特徴だが、耐熱性に課題があった。展示したリチウムイオンキャパシタは独自特許技術により、自動車車室内に搭載するために要求される動作温度範囲-40~+85℃までの使用を可能としたうえ、動作時の上限電圧を制限することで105℃の高温環境での使用を可能とした。
リチウムイオンキャパシタ製品イメージ (充放電システム)
また、燃費規制の拡大や高度運転支援・自動運転の普及・拡大を受けて、省エネ・自動運転化に大きく貢献する電動パワーステアリング(EPS)の適用範囲の拡大が求められているが、大型車両へのEPS搭載には12Vの車両電源では出力が不足するのに対して、リチウムイオンキャパシタと充放電コントローラーを従前のEPSに付加することで車両電源の12Vに対しリチウムイオンキャパシタ2直列からの6Vの電圧を付加し18Vの高出力化を実現、EPSの適用範囲の拡大に貢献できることをアピールした。
EPSの電源補助イメージ
さらに本システムが機能拡張性に優れ車両電源が失陥した場合でもEPS動作が継続するバックアップ電源として活用できるため、ステアバイワイヤシステムの安全性向上、高い安全性が求められる高度自動運転車の実現に貢献すると謳った。