本年9月16日~21日、世界最大級の国際金属加工見本市「EMO Hannover 2019」(主催:ドイツ工作機械工業会(VWD))がドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される。47ヵ国から2100社以上の出展者が参加、日本からは96社が出展する。
今回のテーマは「明日の製造業を動かすスマートテクノロジー」。スマートファクトリーを実現するさまざまな技術が紹介されるほか、新たな展示エリアとして「インダストリー4.0エリア」や「umatiブース」などが用意される。「umati」は、VWDが主体となり多くの工作機械メーカー・制御装置メーカーが参画して規格化を進めており、本年9月の時点で正式版のリリース準備に入っている段階となっている。今回は、世代・メーカーの異なる工作機械での通信を可能とするumatiを使って50社以上のメーカーの100台規模の工作機械をつなぐ実演を行う。
そのほか、特別イベントとして「付加製造の輪」を実施。自動車産業や航空機産業などで使用が広がる付加製造(Additive Manufacturing)技術を集め、システム企業、素材サプライヤー、ソフトウェア企業、3Dスキャニング、サービス企業などが出展。新世代の通信技術である5Gも会場で試験的に運用し、ホールの一部では実際に5Gを利用した展示が行われる。
今回、ベアリング&モーション関連技術では、以下のような出展がなされる。
イグスは、工具不要で開閉できる頑丈なケーブル保護管「エナジーチェーンE4Q」を紹介する。革新的なクロスバー機構によって、両側のロックを解除するだけで開閉できる。メンテナンスを容易にし、組立時間を80%短縮。工作機械業界からのコストダウン要求に対して、トータルコストダウンの手法として提案する。また、モーション・プラスチック製品にセンサを埋め込むことで、リアルタイムで動作状況をモニターし異常を報告するほか、測定した摩耗量を長年の寿命試験に基づくデータベースと比較することで正確な寿命予測や計画保守のための部品交換時期の情報をユーザーに知らせる「スマートプラスチック」では、クローズドシステムを可能にした新しいコミュニケーションモジュール「icom.plus」を披露。センシングされた予防保全のためのデータを自由に統合。ユーザーの知りたい最適な時期・間隔や通知方法で、製品の寿命・交換時期の情報がユーザーのデータシステムにクローズドで通知され、設備の稼働効率、生産効率の向上に貢献できる。
NTNは、高速回転性能と高負荷容量の両立、センシングなどの高機能化を実現したULTAGE高速・重切削工作機械主軸用アンギュラ玉軸受や工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」、工作機械主軸用「空冷間座付グリース潤滑軸受」などの精密ベアリングや、多関節ロボットの減速機用ベアリングを紹介。また、なめらかで素早い動作が可能な手首関節モジュール「i-WRIST™」や、機械の直動案内に用いるリニアモジュール、ベアリングなどの取り付けに使用する誘導加熱装置「SmartTEMP」などのメンテナンスツールを展示する。
SKFは、軸受保持器の最適化設計により、静かに運転し発熱を最低限に抑える「SKFサイレントシリーズ」や、超精密軸受の仕様をスマートフォンやタブレット端末から簡単に入手できる「超精密軸受データマネージャー」、加工時間の短縮、運転コストの低減と高い加工精度に寄与する新世代「送りねじサポート用複式スラストアンギュラ玉軸受」を紹介する。高い負荷容量と剛性、長寿命が求められる場合、「BEAS/BEAMシリーズ複式軸受」がマッチング済み組合せ軸受としても供給可能としている。
THKは、装置のコンパクト化を実現するリニアエンコーダ付LMガイド「SHS-LE」や高剛性で4方向等荷重のDF構造ローラーガイド「HRX」、優れた高速性やコンパクト設計の工作機械用ボールねじ「BSM/BSM-B」、駆動と直動案内の一体構造と省スペース構造、部品点数減による組付工数削減を実現するボールねじ一体型ボールスプライン電動アクチュエータ プレスシリーズ「DSP」を紹介。また、簡単・安全・グローバル対応で予兆検知を実現する新IoTサービス「OMNI edge(オムニエッジ)」を紹介する。
日本精工は、「MORE THAN PRECISION」をテーマに設備の高効率化、安定稼動、高精度加工に貢献する最新の製品や技術を紹介。独自の表面改質技術により低速、小ストロークの繰返しで発生しやすい摩耗を低減し、精度寿命を向上する「高精度・長寿命ボールねじ」を展示する。機械のメンテナンスサイクルを延長し、安定したパフォーマンスを実現、工作機械の加工能力向上と省力化に貢献する。また、高速回転時のNRRO(回転非同期振れ)を約50%低減する「新開発保持器SURSAVE採用工作機械主軸用アンギュラ玉軸受」を紹介。従来軸受に対し、トルクが 20%低下し、低発熱・省エネに貢献、dmn300万の高速回転を実現した。工作機械の加工能力と環境性能の向上に貢献する。
リューベとドイツ代理店のKAA-Europa社は、“One worry less!”をテーマに、機械をより高効率・安定に稼働させるための各種の革新的な潤滑システムのソリューションを紹介する。末端吐出確認と要素部品の温度監視が一体となったIoT対応の潤滑状態監視統合システム「EPM(End point monitor:末端吐出・温度センサ)」を紹介した。潤滑点で潤滑剤が正確に供給されているか常時センシングし、問題が発生した際には速やかに集中給油コントローラーにアラームを送信し、軸受やリニアガイド、スピンドルなど機械要素が致命的な損傷に至るのを防ぐ。高速スピンドルのための潤滑システムとして次世代の「全自動オイルエア潤滑システム」を披露するほか、適時・適量潤滑が可能なため経済的で環境にやさしい「リューベ ハイブリッド潤滑システム(LHL)」や乾電池駆動グリースキット「BT-102システム」や、NSF H1の認証を取得している食品・医療・化粧品業界等の機械に自動集中給脂が可能な成形機械用の純正食品グリース「LFL180-H1」などを紹介する。今回はKAA-Europa社の設立10周年を記念して、来場者を対象に、電動キックスクーター「BMW X2 City-Scooter」が贈られる抽選会も企画されている。