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カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

空スペース、自律分散式転がり軸受で、4点接触玉軸受のサンプル受注を開始

 空スペースは、保持器を使用せずに玉同士を非接触にする技術、ADB(Autonomous Decentralized Bearing / 自律分散式転がり軸受)について、4点接触玉軸受ADB-QJ002(深溝玉軸受6002と寸法互換) を開発、サンプル受注を開始する。本開発品は、10月18日~19日に東京都府中市の府中市市民活動センター プラッツで開催の第30回府中市工業技術展「ふちゅうテクノフェア」で披露される。

ADB-QJ002の外観

 同社ではこれまで、「シンプルで高性能なアンギュラ玉軸受」や「表裏がなく荷重方向を選ばない深溝玉軸受」のADB2形式を提供してきたが、今回の開発品はこれらの形式を上回る性能を備えるほか、従来2個で支持していた軸を1個で支えることができるもの。

 従来4点接触軸受は、複合荷重などを受けた場合の保持器摩耗などの問題から、用途が限られていたが、開発品はADBの「玉を分散させる機能」によってこの問題を解決。結果、広く使用できる4点接触玉軸受に仕上げている(図1)。

図1 使用例

 開発品であるADB-QJ002の特長は以下のとおり。

1.少ないアキシャル隙間と角隙間:アキシャル隙間は0.012mm 以下(深溝玉軸受は約0.1mm)で、傾き(図2)は従来の1/10(荷重端のガタ0.1mm)。

2.高い負荷容量:ラジアル方向は玉の接触点が倍のため負荷容量も倍増、アキシャル方向は接触角±25°による高い耐アキシャル負荷、モーメントはアンギュラ玉軸受2個並みの耐モーメント性能。

3.低損失で安定した高速回転:軌道曲率比(軌道曲率半径/玉の直径)62%で摩擦係数0.0008(図3)を実現するほか、高速運転で玉に働く0°方向の遠心力と同じ、合成接触角0°に案内するゴシックアーチ軌道により玉の公転が安定。

図2 片持ち水平軸

 

図3 2.7°傾斜垂直軸

 

 図2~図3姿勢、ナノダイヤ潤滑~無潤滑で、合計240 時間運転が確認されている(図4)。

図4 240時間耐久 軸受トルク

 

 仕様は以下のとおり。

・呼び番号:ADB-QJ002S (内輪2分割構造)、ADB-QJ002H(内輪穴充填構造)

・外径/内径/幅:32/15/9 mm

・材質:内外輪SUS440C/玉Si3N4

・潤滑:無潤滑(ナノダイヤコートの対応も可能)

・サンプル単価:2個注文の場合@¥96,000、10個注文の場合@¥68,000、200個注文の場合@¥11,200

※本ADBは素材からの製作品、最大外径φ300、特殊溝形状も個別対応可能。