イグス・ドイツ本社は、プラスチックのサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を推進するため、初の商業用Cat-HTR(Catalytic Hydrothermal Reactor)プラント始動を計画するスタートアップ企業Mura Technology社への投資を開始した。Cat-HTR 技術が目指すのは、再生可能で持続可能な廃棄物を削減するプロセスで、この技術によりプラスチック廃棄物は再生可能オイルとなり、再生されたオイルは新しいプラスチック製品の製造に再利用することができる。
現在、膨大な量の混合プラスチック廃棄物が、世界規模で問題になっている。プラスチック製機械部品メーカーであるイグスにとって、廃プラスチック問題は重大な関心事であることから、イグス ドイツ本社では昨年、新たにリサイクルプログラムを立ち上げた。ユーザーから、他社製品を含む使用済みのプラスチック製品を引き取り、細かく粉砕して粒状にし再利用している。
Cat-HTR技術は、これまでリサイクルが不可能だったプラスチック廃棄物を約20分でオイルに還元することができる。高温・高圧条件下で水を使用するだけで、化学分解および再合成を実現できるため、化石燃料を地下から採取するよりも資源効率に優れる。イグス ドイツ本社ではこのほど、7ヵ月に及ぶ集中的な調査を経て、商業用として初のCat-HTRプラント建設を目指すMura Technology社への投資を決定したもの。
このCat-HTRプラントは、現在英国のウィルトンで計画され、今年建設開始が予定されている。一つのプラントで、年間約20000tのプラスチックが処理され、二酸化炭素(CO2)排出量を28180t削減することが見込まれている。