ジェイテクトは、電気自動車(EV車)の駆動ユニットのモータ用として、dmn(ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))2150万以上の高速回転を可能にするグリース潤滑玉軸受を開発した。これにより同社では、モータの小型・高出力化による高速回転化に対応し、電費の向上と航続距離の延長に貢献していく。
同社亀山工場・四国工場、グループ企業のダイベアなどで2025年に量産を開始し、国内外の自動車メーカー、駆動モータメーカーなどに提案を進め、3億円/年の売上を目指す。
近年普及の進むEV車は環境への負荷が低く、今後ますます厳しさを増す燃費規制をクリアする技術として注目され、電力の高効率化や安全性・快適性の向上のため、さらなる技術開発が求められている。
中でも、自動車の燃費・電費の向上に直結するモータの小型・高出力化が進んでおり、モータを支持する軸受には一層の高速回転性能が要求されている。そのため、高速回転下でも破損や焼付きが発生しない軸受の開発が課題となっていた。
これに対しジェイテクトでは、これらの課題を解決するEV車の駆動ユニットのモータに使用する高速回転グリース潤滑玉軸受を開発したもの。
軸受の高速化技術として、冠型の樹脂保持器の形状を工夫する手法が一般的だが、さらなる高速回転化による遠心力の増大により、保持器の変形や他部品との干渉による破損や、焼付きという問題が発生していた。そこで、開発品では、冠形の保持器とはまったく異なった革新的な新形状の保持器の開発と、独自開発のグリース採用によって、さらなる高速化に対応することを可能にした。
新形状樹脂保持器の開発では、ボールポケット形状の工夫と軽量化設計で遠心力による影響を軽減したほか、グリースを保持する形状を採用し潤滑性を向上した。また、従来の高速回転用冠形保持器と比較して、保持器の軸方向寸法をコンパクト化した。
独自開発グリースの採用では、高温高速条件下での潤滑性能とグリース寿命を向上した。
開発品では、軸受幅を拡大することなく、グリース潤滑玉軸受の高速性をさらに向上させ、dmn 150万以上を実現している。