NTNは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されるモータ向けに開発した高速深溝玉軸受の量産納入を拡大している。EV・HEV用モータの小型・軽量化が進む中、従来品の課題を克服し、高い回転性能を実現したことが評価されたもので、同社では2030 年に25億円/年の販売を目指す。
EV・HEV用のモータは、省電費・省燃費化を目的に小型・軽量化が進んでいる。モータの出力トルクを維持しながら小型・軽量化を実現するため、モータ用の軸受には優れた高速回転性能が求められているが、軸受を高速回転させる上では、遠心力による保持器の変形・破損などの課題を克服する必要があった。
同社が2015年に開発したEV・HEV用高速深溝玉軸受は、材料の見直しによる保持器の高強度化とともに、主に保持器と転動体が直接触れるポケット部の形状工夫をすることで遠心力による変形を最小化し、高速回転対応(限界回転数が同社従来品比2倍以上)を実現したもので、標準軸受と同一の取付け寸法のため置き換えも可能となっている。
本商品はグリース潤滑用に開発されたものだが、オイル潤滑環境下での適用も可能で、使用条件によってはdmn値(dm:軸受ピッチ円径(mm)×n:回転速度(min-1))150万の高速回転にも対応する。近年、モータの発熱を抑えるために冷却効果が優れるオイル潤滑のモータが増加傾向にある中で、オイル潤滑向けでのニーズが高まり、量産納入を拡大しているもの。
今後、EV・HEVの普及に伴い、高速回転対応の本商品の需要はさらに拡大することが見込まれることから、NTNでは引き続き本商品を市場展開し、自動車の電動化および省電費・省燃費化に貢献していく考えだ。