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SEMICON Japan 2024

 

ナノコート・ティーエス、水素フリーDLCの受託加工を開始

 ナノコート・ティーエス(https://www.nanocoat-ts.com/)はこのほど、石川県能美市の石川事業所にフランスHEFグループの開発したスパッタリング+陰極アーク+プラズマCVDのハイブリッドプロセスを用いた、中型ta-Cコーティング装置「TSD 550-CMT」を導入し、水素フリーのダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング(ta-C)「セルテス® CERTESS® TC」の受託加工を開始した。50GPaを超える高硬度で優れた耐摩耗性を示すとともに、最適化された下地層・中間層により極めて優れた密着力を有する。特に鋼上の密着力が強いことを強みとしている。また、2μm以上の厚膜ta-Cが量産レベルで容易に可能なことや、成膜温度180℃以下の低温処理が可能なことも大きな特徴。

ナノコート・ティーエス 石川事業所
ナノコート・ティーエス 石川事業所

 

 同社では、成膜後研磨技術を併用しながら、HEFグループで実績のある自動車部品のほか、非鉄金属材料向けの精密成形金型・治工具分野の市場開拓を進めていく考えだ。

 情報通信機器や自動車部品、家電・電子機器の小型化や多機能化に伴い、金型の高精度化や長寿命化、被成形品の表面品質向上の要求が高まっているほか、生産性向上や製造コスト低減などのニーズから、精密金型に表面改質を施すケースが増えてきており、中でも、精密金型における相手材の耐凝着性や離型性、耐摩耗性を向上させることが可能なDLCコーティングの適用が拡大してきている。

 精密金型にDLCコーティングを適用する際、被膜の密着性や被成形材の凝着性・離型性、表面の平滑性、耐摩耗性は重要な要素で、特にアルミニウムや銅、ニッケル、リードフレーム材、樹脂材料などの非鉄金属材料は、成形中に金型表面に付着しやすいため、被成形品の表面にカジリや傷などが発生し、寸法・品質不良となることがある。このような金型表面への被成形材付着の抑制には平滑性と熱・化学安定性の高いDLCコーティングを選定することが重要で、また、DLCコーティングを硬くすることにより被膜の耐摩耗性や耐カジリ性を向上できる。こうしたことから精密金型の使用条件に最適なDLCコーティングとして、平滑性に優れ硬度の高いta-Cコーティングへの要望が高まっていた。

 今回石川事業所に設置した、ta-Cコーティング装置「TSD 550-CMT」で成膜されたta-C「セルテス® CERTESS® TC」は、精密金型用コーティングとして要求される高密着性と50GPaという高い硬度を実現できる。
 

ナノコート・ティーエス ta-Cコーティング装置 TSD 550-CMT
ta-Cコーティング装置 TSD 550-CMT