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SEMICON Japan 2024

 

欧州展示会主催4社、ニッポン企業応援企画合同シンポジウムを開催

 インフォーマ マーケッツジャパン、 ドイツメッセ日本代表部、フランス見本市協会日本事務所、メッセ・デュッセルドルフ・ジャパンは11月9日、ニッポン企業応援企画の合同シンポジウム「グローバルビジネス再開の波に乗り遅れるな!」をハイブリッド開催した。世界の展示会業界をリードする4社が日本企業向けに合同で情報発信を行うのは、今回が初めて。

展示会主催4社 ニッポン企業応援企画シンポジウム bmt ベアリング&モーション・テック
開催のようす

 

 当日はまず以下のとおり2件の講演が行われ、欧州においてリアル展開催がすでに再開されている現状や、リアル展に参加して実感した現場の雰囲気やリアル展への思いなどが報告された。

1.「欧州(ドイツ)のリアル展の現状と2022年の見通し」ジェトロ・デュッセルドルフ事務所次長 木場 亮氏…欧州経済は回復基調にあり、特にドイツでは製造業が早期に回復している状況を報告。こうした中で、自動車のEV拡大・材料の軽量化・燃料電池の材料開発や、IoT・5G・AIの製造プロセスへの応用、再生可能エネルギーの普及拡大といった産業のホットトピックスは、欧州企業に限らず日本企業にもビジネスチャンスをもたらすだろう、と考察した。また、ドイツでは3Gルール(ワクチン接種完了証明、回復証明または陰性証明の提示)などコロナ感染防止対策を講じて、すでに本年9月からリアル展が開催。12 月までに合計110 の見本市が開催され、2022年は国際見本市170を含む390の見本市のリアル開催が予定されていることを報告した。「ジェトロもリアル展示に積極的に出展していくので、日本企業にもぜひ参加してほしい」と呼びかけた。

2.「直近の出展日本企業が語る:ヨーロッパの現場で感じた熱」中村留精密工業 常務取締役 紙野清一氏…複合工作機械を主力とする同社が舞台を全世界ととらえて、積極的に世界に進出してマーケットを作ってきたことを紹介。91ヵ国から6万人超の来場者があったEMOミラノ 2021でのリアル出展を振り返って、「コロナでマイナスになった分を取り戻そう、需要拡大の波に乗り遅れないぞ、というスピード感ある意気込みを感じた」と述べ、コロナ禍でデジタル展が進んだものの、対面で顧客の悩みを聞く=個々に合った提案をその場で出せるリアル展が見直されている。“展示会は、出展社が見せる場であると同時に顧客が見たい物を見に来る場でもある。そこに顧客と出展社とのつながりがある。”と考察し、「コロナを心配するときは終わった。前に進もう!のろのろしていると乗り遅れるぞ!」と日本企業を鼓舞するメッセージを送った。

 講演に続いて、英国インフォーマ マーケッツ ジャパン 代表取締役社長 クリストファー・イブ氏、フランス見本市協会 日本代表 井田絵里佳氏、独メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン 代表取締役社長 小原暁子氏、ドイツメッセ 日本代表部 代表 竹生学史氏をパネリストに、「日本に知ってほしい―コロナで変わった欧州展示会ビジネス」と題するパネルディスカッションが行われ、ドイツ、フランス、英国で入国条件が緩和されている状況や各国での展示会運営の在り方などについて報告がなされた後、以下のような各テーマで、各パネリストから意見が述べられた。

世界の展示会業界をリードする4社の概要 bmt ベアリング&モーション・テック
世界の展示会業界をリードする4社の概要

 

デジタル展、リアル展それぞれの位置付けは?

・井田氏…フランスではデジタルプラットフォームがすでに完成しているものの、リアル展を希望する割合が8割に上る「リアルファースト」が現状。

・イブ氏(英国)…成功しているデジタル展もあるが、リアル展で得られるセレンディピティが欠如している。新製品のランダムな出会いとランダムな発見があるリアル展を求める声は多い。

イブ氏「リアル展では思いがけない出会い、セレンディピティが得られる」 bmt ベアリング&モーション・テック
イブ氏「リアル展では思いがけない出会い、セレンディピティが得られる」

 

リアル展で日本企業は出遅れているのではないか?

・イブ氏…英国ではほぼ普通どおりにリアル展が開催されており、欧州からの来場者は多いのに対して、日本からの来場者が少ない。

・竹生氏…2022年4月に開催されるハノーバーメッセへの動員活動を進めているが、ハノーバーメッセに限らず多くの主催、多くの展示会で、アジアでも中国・韓国企業が出展する以上に、日本企業の出展の様子見がより顕著である。

・小原氏…MEDICA2021では日本と渡航条件が変わらない韓国企業からの出展が増え、日本企業からの出展が激減した。2022年10月開催のプラスチック展K(国際プラスチック・ゴム産業展) 2022でも、日本企業の出展は前回の半数という状況。欧州での日本企業のプロモーション活動は後塵を拝している。

竹生氏「日本企業の出展の落ち込みが激しいように思える」 bmt ベアリング&モーション・テック
竹生氏「日本企業の出展の様子見が顕著」

 

日本企業への応援メッセージ

・井田氏…日本人には悲観論者が多いように思われるが、複合材展JEC COMPOSITES CONNECTでトヨタ自動車の燃料電池車MIRAIに採用された多種の複合材が注目されるなど、日本の技術なくして複合材の産業は成り立たない。世界の開発動向や日本企業の立ち位置、自社製品の技術レベルなど、見本市で分かることは多い。ぜひ積極的に打って出てほしい。

・イブ氏…日本で開催する展示会への海外からの参加意欲は高い。日本企業も海外での展示会に積極的に参加してほしい。

・竹生氏…ワクチン接種率が高く有利な立場にある日本の企業の海外展示会出展の落ち込み率は、海外の企業に比べ大きい。引き続き、日本企業が打って出やすい環境を作っていきたい。

・小原氏…日本企業に立ち止まってほしくない。ジェトロにも協力してもらい最新情報を発信しながら、日本企業の海外でのプロモーション活動を促していきたい。日本企業にはぜひとも、明るい気持ちで新しい年に臨んでほしい。

井田氏「日本の技術なくして成り立たない産業分野は少なくない」 bmt ベアリング&モーション・テック
井田氏「日本の技術なくして成り立たない産業分野は少なくない」

 

総論

・ビジネスにおけるリアル展の重要性が揺らぐことはない

・帰国後隔離の緩和(3日間)は追い風だが、世界はそれ以上に早く動いている

・日本企業は国内市場を攻略してから海外市場へと展開するのに対し、海外の企業は国内市場・海外市場を同時に展開している。このコロナ以前からの違いがスピード差をつけている

・日本の技術・製品は期待されている

小原氏「ビジネスにおけるリアル展の重要性は揺らがぐことはない」 bmt ベアリング&モーション・テック
小原氏「ビジネスにおけるリアル展の重要性は揺らぐことはない」