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SEMICON Japan 2024

 

日本工作機器工業会、2022年新年賀詞交歓会を開催

 日本工作機器工業会は1月14日、東京都港区の芝パークホテルで、「2022年新年賀詞交歓会」を開催した。

 当日は寺町彰博会長(THK社長)が、2021年1月~12月の同工業会会員企業の販売額が前年同期比49%増の1985億円と当初予想の1674億円を大幅に上回る見込みであり、12月が予想数値であることから2000億円に届く可能性もあることを報告した。ボールねじや直動案内などの部分品は同72%増、チャックなどの工作物保持具が同45%増、ツーリングなどの工具保持具関係が同22%増、割出用アタッチメントなどの付属機器関係が同28%増だった。

日本工作機器工業会 挨拶する寺町会長 bmt ベアリング&モーション・テック
挨拶する寺町会長


 寺町会長は続いて、以下のとおり挨拶を行った。

 工作機器と関連の深い工作機械業界、半導体製造装置業界、ロボット業界では、2021年から2022年にかけて好調な状況が続くであろうとの見方が示されている。しかし大きく三つの不安要因があり、予断を許さない状況だ。

 一つ目は、米国では働き手の不在による荷下ろしができず、内陸の陸送もドライバーがいない、荷下ろしがスムーズにいかないといった物流関係の問題で、今なお続くこの国内外の物流関係の大きな問題が経済成長に対してのマイナス要因と考えられる。

 二つ目として、材料関係の物流が回らないことによる材料価格の上昇も、全体の景気に対してマイナスの要素と見られる。

 三つ目は、グローバルでのサプライチェーンがストップする問題だ。新型コロナウイルスの蔓延によって中国やASEANなどでの工場の操業が停止せざるを得ない状況になり、一時期的に物が不足する状況が物流の停滞と合わさって、納入の遅れが膨らみ、物の不足から過剰な先行発注につながることで真の需要を見えにくくして投資が進んでいる可能性がある。この物流・生産の停滞が整流化した時にどう変化するのか。経済停滞が起こった際に整流化が極端に進むことを考えると、実態が見えていない現況にはマイナスの要素が潜んでいるのではないかと懸念される。

 一方、全体的に見ると地政学的なリスク、東西の対立が明確化してきているものの、これはマイナス要素だけではなくプラス要素もある。日本でも台湾TSMCや米国マイクロンの日本進出によって半導体分野の復活という話もあり、工場が新設され機械導入の投資が進む中で、工作機器の業界にとって多くのプラスとなるビジネスチャンスが出てくると考えられる。

 他方で、時代も様々に変わってきており、特にコロナ禍でConnectedが非常に進展し新たな仕組みが構築されてきている。自動車業界で言われるCASE(Connected:IoT化、Autonomous:自動運転、Shared & Services:カーシェアリング、Electric:電動化)やMAAS(サービスとしてのモビリティー)は仕事の仕方や仕事の進め方、物の開発の方向性など、自動車に限らず様々なものを変えていく。Connectedに加えて、自動化やロボット化などで人に頼らないシステム作りといったAutonomous、余っている設備を共同で効率的に使うSharing、機器の省エネ追求といったElectricと、工作機器の業界にとってもCASEは重要課題で、そうした変化する環境にしっかりと対応することが重要。

 もはや日本企業同士で争っている状況にはなく、あらためて会員企業同士で相互補完し、互いの良い点を共有していく時代に入った。引き続き、会員企業相互の協力関係のさらなる構築が望まれる。