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SEMICON Japan 2024

 

イグス、リサイクル素材で作られたプラスチック製自転車部品を開発

 イグスは6月にドイツ・フランクフルトで開催された自転車業界の展示会「Eurobike 2023」で、自転車メーカー向けにリサイクル素材で作られた部品やリサイクル可能な部品を展示した。

イグス プラスチック製自転車部品 bmt ベアリング&モーション・テック

 

 同社は、2022年のハノーバーメッセで完全プラスチック製の自転車「igus:bike」を発表したが、Eurobike 2023では、自転車メーカー向けに高性能プラスチック製の製品ラインを追加した。具体的にはフレーム、クランクセットなどの製品があり、ハンドルバーに関しては今後量産を開始し、Advanced社の自転車Recoに採用される予定となっている。ハンドルバーはイグスが自社開発した高機能ポリマーで製造、射出成形法を採用した一体成形品となるため、アルミニウム製ハンドルバーに見られるような溶接の継ぎ目がない。アルミニウム製と同様に安定性が高く、品質はイグスの広大な自転車試験施設で検証されている。

 これらの製品はリサイクル可能で、その一部はリサイクル素材から作られている。生産はケルンで開始され、今後アジアと北米にも拡大される予定。

 自転車の設計と生産においても省資源がますます重要になる中で、輸送やエネルギー多消費型生産、部品廃棄は、自転車産業におけるCO2排出量の大部分を占めている。

 「プラスチック技術は、自転車のすべての部品に応用できる可能性があり、業界の新たな選択肢になると考えている。我々の顧客は、CO2削減、リサイクル性、耐久性、ローカル・サプライチェーンをますます求めている」 とイグスの自転車部品部門責任者であるヤン・フィリップ・ホルマン氏は語る。

 今回、自転車メーカー向けにボールベアリング、クランクセット、ステアリングヘッドベアリング、特別に開発された高性能プラスチック製フリーホイールなどの新しいカタログ製品を発表し、間もなくフレーム、ハンドルバーも上市する予定となっている。また、シートポストとサドルレールも準備中だ。

 本取り組みによって、OEMに対し、研究・製品開発から自転車部品専用の試験、金型製作、高機能ポリマーによる生産まで、同社1社であらゆる技術・サービスに対応できる。同社は30年以上にわたり、多くの有名自転車メーカーにすべり軸受やその他の可動部品を供給してきた。今後、自転車OEMに対し、4大陸にある12の工場から現地供給できるよう目指していく。

 完全プラスチック製自転車「igus:bike」の開発の結果、シャンプーボトルや海洋漁網など、消費者から回収された廃棄物をフレームとホイールに使用した、頑丈なプラスチック製自転車が誕生。自転車の耐摩耗部品はすべて、耐久性と摩擦特性に優れた独自のポリマーで作られている。同社はこのプロジェクトを「自転車業界のための生きた実験室」と呼んでおり、2023年9月初旬に最初のケルン製自転車を販売開始する予定となっている。同社では、「自転車産業においてもプラスチックの専門知識を生かし、他のメーカーと協力しながらプラスチック循環型経済の促進に努めていきたい」とコメントしている。