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SEMICON Japan 2024

 

NTN、工作機械主軸向け低振動と長寿命軸受を開発

 NTNは、小型製品の加工や、精密微細加工などに用いられる小型スピンドル(小型主軸)の低振動と長寿命を可能にする「ULTAGE(アルテージ)シリーズ 工作機械主軸用小径高速アンギュラ玉軸受」(内径φ10mm~φ50mm)を開発した。2018 年度に 1億2,000万円の販売を目指す。

 近年、工作機械は、「マザーマシン(母なる機械)」としての基本性能である「高速、高剛性、高精度」に加え、省エネ、省スペースのための「小型化」や「高出力」「環境負荷軽減」など、新しい機能やコンセプトを持つ機種が次々と開発されている。このうち「小型化」については、新興国向けに低価格・省スペースの小型工作機械の開発が盛んなほか、スマートフォンをはじめとする小型製品の加工や、医療機器部品などを対象とした精密微細加工も増加している。こうした業界の動向を受け、それらの回転を支える小型スピンドルのニーズが高まってきている。

 小型スピンドルは、内部の冷却と外部からの異物侵入防止のため、内部に圧縮空気を流す構造が多く用いられているが、グリース潤滑支持軸受の場合、軸受シールが設置されていないこともあり、圧縮空気によって軸受からグリースが流出し、潤滑寿命の低下を招くことがある。グリースの流出を抑えるためには、シールを取り付けた密封形軸受が有効だが、反面、圧縮空気がスピンドル内部を流れにくくなり、冷却機能や異物の侵入防止機能が低下するという課題があった。

 これに対し今回開発された「ULTAGE シリーズ 小径高速アンギュラ玉軸受」は、圧縮空気による冷却と防塵機能を阻害せず、軸受内にグリースを多く保持する新設計シールを採用し、グリース保持性を改善(同社従来品比4倍以上)するとともに、圧縮空気の流れやすさを確保した。

 加えて、グリースの封入位置や量を工夫し、長寿命を実現。6,000 時間以上(同社従来品比10倍以上)の高速耐久性を可能にしている。

 また、小型スピンドルは加工精度や加工面のきめの細かさなど外観品質向上のため、「低振動」が求められているが、開発品では軸受軌道面の精度を高める加工法を採用し、同社従来比で約50%の振動低減を実現した。

NTN工作機械主軸軸受