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SEMICON Japan 2024

 

ジェイテクト、多段圧延機用高性能軸受を開発しメンテナンスサポート体制を充実

 ジェイテクトは、鉄鋼設備の中でもステンレス鋼や電磁鋼など高級鋼板の高精度圧延を行う多段圧延機に使用される軸受について、密封構造を改良することによって耐久性、密封性、取扱性の向上に成功した。軸受は国分工場で製造、国内外のプラントメーカーや製鉄所への納入を進め、4億円/年の販売を目指す。

 同社では併せて、ユーザーが使用中の軸受を引き取り、外輪外径面の再研削やクラウニング加工を実施するメンテナンスサポート体制も確立した。同社ではこれらによって、ユーザーのメンテナンス工数削減を実現し、鉄鋼設備の安定操業に貢献していく。

多段圧延機用バックアップロール(BUR)軸受の現状の課題多段圧延機用バックアップロール(BUR)軸受の現状の課題

 電磁鋼板は主に発電機、変圧器、モーターに使用され、近年では電気自動車(EV)の普及に伴い、EVの動力源となるモーター用電磁鋼板の需要が世界的に伸長している。この電磁鋼板を生産するには高精度圧延が可能な多段圧延機による加工が必要で、同社は以前から多段圧延機用のバックアップロール(BUR)に使用される軸受や、そのメンテナンスツールの提供を通じて、ユーザーの安定操業に貢献してきた。

 同社では今回、より高性能な軸受の開発と、サポート体制の一層の充実に取り組み、①重荷重領域での稼動割合の増加および軸受への異物侵入、②軸受外輪がロールと接触するために定期的な再研削が必要といったユーザーの課題の克服を実現した。

 まず、多段圧延機バックアップロール用軸受について、密封構造改良(シールプレートの高剛性形状の採用)によって、定格荷重の向上と密封性の向上、取扱性の向上を実現した。

高剛性シールプレート軸受高剛性シールプレート軸受

 さらに、従来はユーザーで実施していたメンテナンス作業について、ユーザーが使用している軸受をジェイテクトが引き取り、外輪外径面に再研削加工とクラウニング加工を施し、購入時と同等の品質を保証したうえで再度納入する体制を確立、メンテナンス支援体制を拡充した。

再研削部のイメージ図再研削部のイメージ図

 一方で、X線回折を用いた測定によって再研削最適量の提案も可能にしたほか、ユーザーで再研削を実施する場合に使う、肉厚測定器や再研削冶具、外輪再研削用円筒研削盤といったメンテナンスツールも取り揃えている。