SEMIは12月12日~14日に東京都江東区の東京ビッグサイトで、世界最大級の半導体製造サプライチェーンの国際イベント「SEMICON Japan 2018」を開催した。テーマは昨年に引き続き“マジックが起きる。”で、IoTに代表される半導体アプリケーションの浸透拡大を背景に、これまで接点のなかった産業や業種がSEMICON Japanの場で出会うことで、新たなテクノロジーやビジネスモデルが「マジック」のように誕生する場となることを目指した。727社/1881小間の規模で開かれ、52865名が来場した。
第42回目を迎える今回は、パビリオン展示として「製造イノベーション」や「化合物イノベーション」、「ミニマルファブ」などが設置されたほか、「SEMIスタンダード」ブースでは半導体製造、3Dパッケージング、表面実装などの製造ラインをスマート化するSEMI規格の最新情報が紹介された。また、「スマート・アプリケーション」ゾーンが新設。半導体の需要を新たに下支えしている、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転などに向けた技術開発の進む自動車やIoT(モノのインターネット)など、これからのスマート社会における成長分野にフォーカスした特別展示がなされた。さらに今回も、企業の若手エンジニアや学生、ベンチャーなど次世代を担う人材を育成する企画イベント「MIRAI GAKKO」が開催された。
半導体製造装置においては「微細化の進展」と、微細化によらず集積度を向上できる「3D NANDフラッシュメモリーの高度化」が進展する中で、ベアリング・モーション機器関連では、半導体製造装置を高精度・高速に稼働させつつコンタミネーションの発生を抑えるような各種の製品技術が紹介された。
ジェイテクトは、特殊環境用EXSEV(エクゼブ)軸受シリーズの新ラインナップとして、蒸発しにくい基油と熱分解に強い増ちょう剤を組み合わせたグリースを使用することで、300℃までの使用を可能とする「超高温用グリース封入軸受」を展示した。従来高温環境向けで多用されてきた固体潤滑剤と比較すると寿命は6倍以上に伸びるなど、性能を大幅に向上。耐熱性が求められる設備において、メンテナンスコストの低減(メンテナンス周期の延長)と作業の効率化に貢献することをアピールした。
THKは、ハンドリングやピック&プレースを行う搬送用途に最適なリニアモータシリーズ「ULM15/20」を披露した。最高速度3m/s、繰り返し位置決め精度±1μmで、異物が流入しにくいフルカバー構造としている。長距離搬送が可能な最大ストローク4mを実現、転がり直動案内「LMガイド」を採用した高剛性アクチュエータで、長距離搬送が可能な最大ストローク4mを実現。複数のスライダを個別制御できるため、同軸上でハンドリングやピック&プレースなど種々の作業を可能にして 生産性を向上できることを謳った。
日本ベアリングは、精密研削加工された軌道台とスタッドローラーを内蔵したRリテーナー(樹脂製)で構成され高精度を必要とされる光学機器や計測器に最適な「NBスライドウェイNV形」を展示した。軌道台はスタッドローラーが滑らかに動くように最適設計が施され、またRリテーナーのスタッドローラーにより軌道台と転動体のスリップがなく、スライドウェイでは難しかった昇降やタクトの速い動作に適している。ワークを運ぶピック&プレースユニットに同社のリニアガイドを、θ補正のθ軸ユニットに同社のボールスプラインを、XY補正のカムポジショニングステージに同上のスライドウェイをそれぞれ用いて、微小ワークの高速搬送を行うデモンストレーションなどを実施した。
ハイウィンは、最短1週間の短納期で低コストながら、最高速度5000mm/s、分解能0.1μm、繰り返し精度±1μmを実現する短軸リニアモータ 位置決めステージ「SSA」を紹介した。要望に合わせた仕様が選定できるほか、オプションで同社製HIMCコントローラを組み合わせることが可能なことをアピールした。また、独自のカウンターバランス制御機構によって振動をキャンセルすることで、半導体・FPD製造プロセスに最適なナノレベルの位置決め精度を実現する超高精度位置決めステージ「DiAMOND」を披露した。リニアモータと多孔質エアベアリング、精密SiCセラミックガイドを使用、サーボドライブによって長期間にわたって安定的にナノ精度の制御を実現できる。
フェローテックは、半導体だけでなく広範な産業分野での適用拡大を目指して、二つのキーマテリアルの新技術を紹介。ファインセラミックス、特に同社の高純度アルミナはマイクロ波透過性が良好なことから、半導体製造プロセスにおけるプラズマ処理装置のチャンバー内部品に用いられるほか、高純度が求められるウェハー搬送用部品などに用いられる。 また、低熱膨張で機械的強度にも優れるマシナブルセラミックス「ホトベールⅡ」が、検査装置の部品に採用。穴径35μmの貫通孔を位置精度高く形成することが可能であり、角穴形状の高精度加工技術も確立している。静電気防止マシナブルセラミックスも開発し、静電気の放電対策用途として拡販中とアピールした。