NTNは、5kg以下の軽可搬重量のピッキングロボット向けに、小型・軽量で、0~100°の範囲で設定した任意の2点の角度に姿勢変更が可能な「ロータリアクチュエータ式ハンド」を開発した。ピッキングロボットの先端部に装着し、ランダムな姿勢の対象部品(ワーク)に対して様々な方向・角度からのピッキングが可能となる。ワークの取り逃しや搬送時の落下を防止することにより、搬送や整列における生産性の向上に貢献する。
ピッキング作業には、一般的に高速で強度の高い水平多関節ロボット(スカラロボット)が使用されている。スカラロボットは、ワークに対して横方向や斜め方向からのピッキングができず、上方からのピッキングに限定されるため、ピッキング可能な姿勢のワークが流れてくるまで待機することがあった。さらに、ロボットの先端に装着するハンドは一般的に重量が大きく、可搬重量が大きいロボットが必要となり、ロボットの動作速度が遅くなったり、周辺装置との干渉を回避するため装置全体が大型化することも課題となっていた。
今回開発したロータリアクチュエータ式ハンドはロータリアクチュエータの回転軸を中心にワークを掴むチャック部との締結部が回転することで、チャック部の位置や姿勢を0~100°の範囲で設定した2点の角度に変更することが可能で、ピッキングロボットの先端部で本開発品を回転させることで、横方向や斜め方向からのピッキングが可能となり、ワークの取り逃がしを大幅に削減する。ロータリアクチュエータ、チャック部をコンパクトに一体化することで、小型・軽量化を図るとともに周辺装置の干渉も防止しているほか、チャック部のツメ形状を最適化することによりワークの落下も防止する。
スカラロボットを用いたピッキングロボットと本開発品を組み合わせることで、従来では困難とされていたランダムな姿勢のワークを高速でピッキングすることが可能となり、生産性の向上に貢献する。さらにピッキング後の搬送中にワークの姿勢を変更することも可能なため、ワーク姿勢を整える機構や工程を省略することができ、搬送ラインのコンパクト化にも貢献する。