「接続のジレンマ」を解決するイグスの移動式陸上電力供給システム「iMSPO (igus Mobile Shore Power Outlet)」が、アムステルダムで開催された展示会「Electric & Hybrid Marine Expo Europe 2024」において、港湾分野での革新的な技術やプロジェクトを表彰する「Ports and Harbor Innovation of the Year賞」を受賞した。
本年6月にアムステルダムで開催された展示会「Electric & Hybrid Marine Expo Europe」は、海洋・港湾分野でのエネルギーを電化・ハイブリッド化する技術に特化した展示会で、持続可能性と環境に配慮した技術に焦点をあてている。本展示会でイグスが受賞したPorts and Harbor Innovation of the Year賞は、港湾の持続可能性や効率、安全、運営の向上に寄与する新しいアイデアやソリューションを持つ企業や団体に与えられるもの。陸上電力供給(陸電)とは陸上の電力を電源から船舶に接続し、停泊中の船舶が必要とする電力を供給するもので、停泊中のディーゼルエンジンをオフにすることで船舶のアイドリングストップが可能になるためCO₂を削減できるが、同社の陸電システムiMSPOは、審査委員会より「iMSPOは港湾電化の重要な要件に対応している」との評価を得てPorts and Harbor Innovation of the Year賞を受賞したもの。
欧州では、気候変動政策「Fit to 55」で「2030年までに温室効果ガスの純排出量を少なくとも55%削減すること」を目標に掲げ、港湾事業者に対しても環境に優しい技術への転換を求める声が高まっており、本賞の受賞は業界の発展に大きな影響力を持つ。日本においても、2020年から国交省が陸電に関する検討をはじめており、カーボンニュートラルポート(温室効果ガス排出ゼロを目指し港湾機能が整備された港)の実現に向けて国内主要港が陸電設備設置のためシステム等選定に動きだすなど、重要性が増していきている。