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トライボロジー試験機SRVのユーザーズミーティングが開催、国内ラウンドロビン試験結果を報告

 パーカー熱処理工業(PNK、https://srv-pnk.jp/)は11月14日、東京都葛飾区の東京理科大学で、揺動(オシレーション)および回転(ローテーション)と、オシレーション・ローテーション両方の動きを模擬できることなどから、潤滑剤や自動車向けトライボロジー試験機のデファクトスタンダードとなっているOptimol Instruments Prüftechnik(Optimol)製のトライボロジー試験機「SRV®」について、「2025年度SRV国内ラウンドロビン試験結果報告会」(トライボロジー特性のデファクト標準に関する研究会(主査:東京理科大学・佐々木 信也 教授)協力)と「SRVユーザーズミーティング2025」を開催した。

 当日はまず、「2025年度SRV国内ラウンドロビン試験結果報告会」が行われた。SRVのユーザーである13の企業・機関が、同じ試験条件(荷重、ブロック温度、周波数、ストローク、上部試験片(φ10mmボール)、潤滑剤、下部試験片(φ24mm×7.9mmディスク))で、標準試験(DIN 51834準拠)、グリースEP試験(ASTM D7421準拠)、FZG歯車試験のスクリーニング試験(DIN 51834-4準拠)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜の耐はく離荷重評価試験の四つの試験を実施、SRV試験機と試験方法の信頼性や確かさを検証した。

 試験開始後30秒~60分の摩擦係数の標準値をプロットした「標準試験」では、2024年度のラウンドロビン試験の結果と比べ、企業・機関間でのばらつきが少ない結果となった。ラップ試験片とグラウンド試験片の2種を使用しての「グリースEP試験」では、グランド試験片で焼付き荷重が概ね700N以下だったのに対し、ラップ試験片では概ね1000N以上の焼付き荷重を示した。また、2種のギヤ油を用いて6企業・機関で実施した「FZGスクリーニング試験」では、多くの企業・機関で油種の差が見られなかったものの、焼付き荷重の値が大きくばらつく結果となった。潤滑油介在下で水素含有DLC被膜と水素フリーDLC被膜を対象に6企業・機関で実施した「DLC被膜の耐はく離荷重評価試験」では、企業・機関間での耐はく離荷重の値にばらつきが見られたものの、いずれも水素含有DLCが大きな荷重に耐え、水素フリーDLCでは比較的低荷重ではく離が発生することが確認された。

 SRV国内ラウンドロビン試験は、SRV国際ラウンドロビン試験に比べて試験回数や試験時間などの条件は緩やかではあるものの、国内ラウンドロビン試験のタイトなスケジュールやデータ加工の手間など、参加企業・機関の負担は少なくない。PNKでは引き続き、今回のラウンドロビン試験の問題点や今後の課題などを抽出しつつ、参加企業・機関の負担をできるだけ軽減することで、2026年度の国内ラウンドロビン試験で試験結果のばらつきを抑えるとともに、国内ラウンドロビン試験への参加企業・機関数を増やせるように努めていく。

パーカー熱処理工業 2025年度SRV国内ラウンドロビン試験結果報告会のようす bmt ベアリング&モーション・テック
2025年度SRV国内ラウンドロビン試験結果報告会のようす

 

 続く「SRVユーザーズミーティング2025」の話題提供として、PNKの佐藤雅之氏とオンラインで参加したSRV試験機製造元である独Optimol社のGregor Patzer氏が、最新機種SRV®5に関して、①Data logger(サンプリングレート)の活用方法、②高分解能信号分析測定(HRA)モードのCOF hysteresisの活用方法、③新しい試験を始める際の試験条件設定についての考え方、④DLCはく離の早期検出のためのアコースティックエミッション(AE)測定の有用性、⑤SRV向けに設計された薄板試験片や円柱試験片など特殊形状の試験片を把持でき温度制御も可能な新しいホルダー「ヴァリアブロック」について紹介した。

パーカー熱処理工業 佐藤氏によるSRVユーザーズミーティング2025の話題提供のようす bmt ベアリング&モーション・テック
佐藤氏によるSRVユーザーズミーティング2025の話題提供のようす