日本トライボロジー学会(JAST)は10月8日~10日、北海道函館市の函館アリーナで、「トライボロジー会議 2025 秋 函館」(実行委員長:岩手大学・内舘道正氏)を開催した。会期中は約700名が参加した。

今回は、「機械要素」、「潤滑剤」、「分析・評価・試験方法」、「摩耗」、「摩擦」、「表面・接触」、「表面処理・コーティング」、「バイオトライボロジー」、「流体潤滑」、「マイクロ・ナノメカニズム」、「疲労」、「境界潤滑」、「摩擦材料」、「シミュレーション」のテーマによる一般講演と、「最新のトライボロジー実用化技術とその技術開発」、「メンテナンス・トライボロジーの新展開」、「ヤングトライボロジストシンポジウム」、「トライボロジーにおける非定常問題」、「進化・深化する高分子トライボロジー」、「金属加工プロセスにおけるトライボロジーの最前線」、「シールにおけるトライボロジー技術」、「カーボンニュートラル実現に向けたトライボロジーの戦略」、「e-駆動系/駆動系の変革を支えるトライボロジー-潤滑油技術と摺動部品の電動化に向けた取り組み-」、「スポーツにおけるトライボロジー」のテーマによるシンポジウムセッションで、全352件の発表がなされた。

また、9日には特別講演会が開催され、北見工業大学・桝井文人氏とはこだて未来大学・竹川佳成氏が「カーリングをもっと強く,もっと身近に.カーリングを支援する技術の研究,その面白さと難しさ」と題して、講演を行った。

同日に開催された「懇親会」ではまず佐々木信也JAST会長(東京理科大学)が挨拶に立ち、「今回は多くの方に参加いただき、感謝している。近年では一番多い参加者数と発表者数と聞いている。トライボロジー会議に参加しての目標の一つは確かに研究発表を行うことだが、これからの懇親会のような、皆さまが集まってFace to faceで情報交換を行うことは、当学会の一番大事な機会だと思う。是非とも活発な交流を行っていただきたい」と語った。

続いて、来賓の挨拶として大泉潤 函館市長が、「トライボロジー会議2025秋函館が、このような多くの方々の全国各地からの参加のもと盛大に行われていることを心から喜びを申し上げたい。実行委員会をはじめ関係者の皆さまに、数ある候補地から函館を選んでいただき、この地での開催に多大な尽力をいただき、感謝したい。トライボロジーは摩擦や摩耗、潤滑といった現象を対象として、省エネルギーや環境負荷低減など、生産効率向上が求められる製造業や加工業において重要な分野と認識している。日本の技術力や産業の発展に大きな役割を果たしてきた皆さまの研究に敬意を表したい。今回の会議では過去最多となる約350件の研究発表や企業の展示、函館市民が自由に参加できる特別講演会などが行われている。函館の地で活発な議論と交流が行われ、トライボロジーの最先端技術や知見が共有されることで、産業のさらなる発展につながることを大いに期待している。函館市では地域産業の基盤を支える取り組みとして、DX、生産性向上のために利用する経費の一部補助、海外販路開拓の伴走支援など、企業の成長を後押しする取り組みを行っている。中でも臨空工業団地においては、陸海空いずれにも優れた交通アクセスを備えており、道内外との円滑なアクセスを可能にする立地環境を有している。函館市のこうした産業支援の取り組みにも注目していただき、次なるビジネス展開の場として検討していただきたい。短い滞在期間だとは思うが、函館山からの夜景や新鮮な海産物をはじめとするグルメなど、函館の街の魅力を存分に堪能していただきたい」と歓迎の意を述べた。

さらに内館道正 実行委員長が、「参加者の皆さま、ならびに企業展示に協力をいただいた各社、特別講演をいただいた桝井先生ならびに竹川先生、函館市および会場となる函館アリーナの関係者各位のおかげで、このように盛況に開催できたことを実行委員一同、心よりお礼申し上げたい。明日最終日も引き続き、活発な議論と交流を行っていただきたい」と挨拶し、乾杯した。

懇親会ではそのほか、今回の企画の一つであるカローリング体験の高得点者の授賞式が行われた。

会期中は「企業技術・製品展示コーナー」が設けられたほか、出展企業数社による製品PRやサービスについての企業プレゼンテーション(ランチョンセミナー)が実施された。


