NTNの連結子会社であるNTNテクニカルサービス(NTS)は、製造現場の加工・組立工程向けに省スペース性と高速性を両立した、自動ピッキングを実現するパーツフィーダ「ROBOCLE(ロボクル)」を開発した。ROBOCLEは、2021年に同社が開発した「TRINITTE(トリニッテ)」に新開発のピッキングアクチュエーターを組み合わせることで、設置スペースを削減し、専門知識不要で多様なワーク形状の自動ピッキングを実現する。
既存商品である高速ピッキング対応のTRINITTE、省スペース性を追求した「CHOXY(チョクシー)」、両商品の特長をバランス良く両立した新商品「ROBOCLE」の3種類のピッキング用フィーダの提案を進め、製造現場の省人化・効率化に貢献していく。NTSでは、2028年度にROBOCLE で2.5億円/年、CHOXYで 1億円/年の売り上げを目指す。
労働人口の減少や生産性向上を背景に、製造現場ではワークの投入や整列などのピッキング作業の自動化が進められている。NTNは1970年代より、加工機へのワーク供給用パーツフィーダを開発・販売しており、現在では国内トップクラスの市場シェアを誇る。
従来のパーツフィーダはワーク形状に応じて部品の段取り替えが必要だが、多品種少量生産が進む中、段取り替えなしで多様なワークをピッキングできるパーツフィーダが求められていた。
こうしたニーズを受けてNTSは、2021年にピッキングロボット用フィーダ「TRINITTE」を開発した。TRINITTEは回転円盤上にワークを配置し、カメラとピッキングロボットを連携させることで、ワークの形状や姿勢に関わらず安定したピッキングを実現する。現在、電子機器部品や自動車部品などをはじめ、さまざまな分野で導入されている。

TRINITTEは高い評価を得ているが、ピッキングロボットの設置スペースや、一定以上の性能を持つロボット、さらにティーチングに関する専門知識が必要な点が導入の障壁となっていた。
NTSでは今回、より多くのユーザーにTRINITTEと同様に多様なワークの自動ピッキングを提供できるよう、省スペース性などを実現したROBOCLEを開発したもの。
ROBOCLEは、TRINITTEと新開発のピッキングアクチュエーターを組み合わせたピッキング用フィーダ。従来のTRINITTEとピッキングロボットを用いた構成では設置スペースやティーチングの知識が必要なため、導入が難しかったユーザーに最適な商品で、TRINITTEが本体周辺にピッキングロボットを配置するのに対し、ROBOCLEは本体中心部に新開発のアクチュエーターを搭載するため、設置スペースを約25%削減しながらスムーズなピッキングを実現するほか、専用ユーザーインターフェースにより、専門知識がなくてもティーチングが可能。特長は以下のとおり。
・省スペース:システム中心にピッキングアクチュエーターを配置した設計を採用。TRINITTEの周囲に産業用ロボットや協働ロボットなどのピッキングロボットを取り付けることなく省スペースで設置が可能。TRINITTEとピッキングロボットを組み合わせた設置スペース(ロボット可動域を含む)と比較し、約25%削減
・高速性:「回る×取る」動作が同期し、スムーズなピッキングを実現。ピッキング[つかむ]→プレイス[置く]までの最小サイクルタイム約2秒
・簡単設定:高度なロボット知識やスキルなしで操作が可能な、現場で使いやすいピッキングシステムで、専用のユーザーインターフェースを提供することにより簡単に設定が可能。

また、CHOXYは累計5000 台以上の納入実績を誇る「モノドライブ2ウェイフィーダ」と直線コンベア、ピッキングロボットを組み合わせたピッキング用フィーダ。TRINITTEやROBOCLEと比較して最も省スペースかつ操作設定がシンプルで、手軽にピッキングの自動化を実現したいユーザーに最適な商品となっている。
CHOXYでは1台の直進フィーダでワークを安定整列させた後、直線コンベアで協働ロボットなどのロボット近くに搬送し、ロボットがピッキングする。ワーク品種や動作モードの切り替えなどの設定も簡単で、専門知識がなくても導入・運用できるユーザーセルフ運用に対応している。特長は以下のとおり。
・シンプルな構成:モノドライブ2ウェイフィーダと直線コンベア、ピッキングロボットとの組み合わせによるシンプルかつ安価なピッキングシステム
・省スペース:コンパクトな構成で省スペース化を実現
・ユーザーセルフ運用への対応:シンプルな構成・設定により、ユーザーセルフ運用が可能


NTSはTRINITTE、ROBOCLE、CHOXYの3種類のピッキング用フィーダを用いて、ユーザーの使用環境やニーズに応じた最適な商品を提案し、多様なワークの自動ピッキングと製造現場の省人化・効率化に貢献していく。

