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SEMICON Japan 2024

 

日本トライボロジー学会、トライボロジー会議 2016 秋 新潟を開催

 日本トライボロジー学会(JAST)は10月12日~14日、新潟市中央区の朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで「トライボロジー会議 2016 秋 新潟」を開催した。
会場

 今回は、機械要素や潤滑剤、表面処理、分析・評価・試験などに関わる研究251件が、一般セッションとシンポジウムセッションで発表された。

 春の大会に続いて、参加者がどのセッションで必要な情報が得られるかを分かりやすく提示するとともに、研究発表者に実学としてのトライボロジーの応用を考えさせる狙いで、一般セッションの分類を「産業機械」、「輸送機器」といった応用分野を中心に変更。応用分野に分類が難しい研究などについては「学術」のセッションで発表がなされた。
セッションのようすセッションのようす

 また、シンポジウムセッションは、「シールにおける最新のトライボロジー技術」、「固体潤滑-最近の動向と特殊環境への展開-」、「境界潤滑の全体像を描く-様々な研究者・技術者の立場から-」、「エロージョンおよびその応用と周辺技術」の4テーマで開催された。

 12日にはイブニングフォーラムが開かれ、小林一夫氏(小林研業 代表)による講演「金属研磨技術とその継承」と、金桶光起氏(新潟県醸造試験場 場長)による講演「新潟の酒」がなされた。また、13日には特別講演会が開かれ、神吉 博氏(神戸大学 名誉教授)による講演1「自然エネルギーの利用-ジャイロ式波力発電システム-」と、上村靖司氏(長岡技術科学大学 教授)による講演「雪利用最前線-食品熟成からデータセンターまで-」が行われた。

 13日にはまた、ANAクラウンプラザホテル新潟を会場に、懇親会が開催された。まず大会実行委員長の金子 覚氏(長岡技術科学大学 教授)から「13年ぶりになる新潟での開催がこのように盛況で、喜ばしい。三日間を通して技術講演会、企業展示が活発に行われるが、特別企画のイブニングフォーラムと特別講演会では、当地にちなんだ話題もいくつか提供されている。この機会に新潟の気候・風土に触れていただき、これまで以上に当地への関心を深めていただきたい。また、会員相互の懇親を深める重要なこの場で、ぜひとも新潟の食と酒を堪能しつつ情報交換・交流につなげていただきたい」と挨拶した。
金子 覚 実行委員長金子 覚 実行委員長

 中野史郎JAST会長(ジェイテクト シニアフェロー)からは、「会員への利益提供や学会の魅力度向上を目的とした調査で挙がった課題を整理して13の取り組むべきテーマとして仕分け、5年先のあるべき姿を数値としてまとめているところだ。目標数値を一つ一つ達成して、会員に対するより一層の利益提供につながるよう、引き続き取り組んでいきたい」との挨拶があった。
中野史郎 会長中野史郎 会長

 会期中はメイン会場の朱鷺メッセに「企業技術・製品展示コーナー」が併設され、41の企業から最新の製品・技術が紹介された。主な展示は以下のとおり。

 アントンパール・ジャパンは、ポリマーや極薄膜、軟組織などを含む各種材料の機械的特性をナノスケールで評価できる「ウルトラナノインデンテーションテスタ(UNHT3)」を展示した。UNHT3を改良したバイオインデンタ(BHT)は非平面の軟質材料(最小1kPaまで)の試験にも対応でき、コンタクトレンズや骨組織の評価にも採用されていることを紹介した。
ウルトラナノインデンテーションテスタ(UNHT<sup>3</sup>)ウルトラナノインデンテーションテスタ(UNHT3)

 三協オイルレス工業は、RoHS指令に適合した焼結タイプの鉛フリー軸受で、屋外・水中に適した耐食性の高い青銅系銅合金を採用したほか、特殊合金により優れた耐摩耗性を発揮する固体潤滑剤分散型軸受「SO#230」を展示した。また、超高加工力仕様で高い戻し力によってハイテン材加工にも貢献するカムユニット「VALCAM Blackグレード」を紹介した。
屋外・水中用 固体潤滑剤分散型軸受「SO#230」屋外・水中用 固体潤滑剤分散型軸受「SO#230」

 島貿易は、英国PCS Instruments社製の「MTM2トラクション計測器」を展示した。潤滑油、グリース、そのほかの流体の幅広い転がり、滑り条件でのトラクション係数を、ソフトウェアで作成したプロファイルによって全自動で測定できるシステムで、豊富なアクセサリーによりクラッチ、ブレーキ、ソフトコンタクトなどの試験にも応用できることを示した。
MTM2トラクション計測器MTM2トラクション計測器

 神鋼造機は、トランスミッション組み立て品と、その要素技術となる湿式クラッチや歯車、潤滑油などの総合受託試験を開始。トランスミッションダイナモ試験機や歯車試験機、クラッチ摩擦試験機、低速滑り摩擦試験機、摩擦摩耗試験機など充実した設備と、蓄積した経験による試験技術、試験設備メーカーならではの的確で柔軟な対応を謳った。
受託試験機器イメージ受託試験機器イメージ

 トリニティーラボは、金属、樹脂、フィルム、繊維、コーティング膜、潤滑剤などの物質間における摩擦・摩耗特性や、人肌、毛髪など各種物質の触覚評価が行える「TRILAB 静・動摩擦測定機 TL201 Ts」を展示した。ターンテーブルユニットをオプションとして用意、ユニット交換だけでディスク回転/直線往復摺動測定が可能なことをアピールした。
TRILAB 静・動摩擦測定機 TL201 TsTRILAB 静・動摩擦測定機 TL201 Ts

 日本ベアリングは、高精度・高剛性の直動機器「スライドガイド」や、同品とボールねじを一体化した「1軸アクチュエータ」、高速・高精度の直線・回転運動を同時実現できる「ロータリーボールスプライン」を組み合わせた「直線運動+回転運動複合デモ機」を展示。医薬品分析など様々な作業の簡略化や自動化、装置の小型化や多様化が図れることを示した。
直線運動+回転運動複合デモ機直線運動+回転運動複合デモ機

 ブルカー・エイ・エックスエスは、汎用トライボメータ「UMT TriboLab」を展示。回転試験から往復動試験、数Nから数kN、室温から1000℃までの試験環境に切り替えられること、交換が容易なモジュール設計により、摩擦摩耗試験だけでなく、スクラッチ試験や腐食摩耗試験、マイクロインデンテーション試験までカバーできることなどを紹介した。
UMT TriboLabUMT TriboLab