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SEMICON Japan 2024

 

ジェイテクト、低トルク・高耐摩耗性テーパードローラーハブユニットを開発

 ジェイテクトは、ボールハブユニット(B-HUB)で開発した低トルク化・耐摩耗性向上技術を適用した、「LFT:Low Friction Torque」シリーズのホイール用テーパードローラーハブユニット(T-HUB)を開発した。量産開始は2019年5月の予定で、2021年に70億円/年の売上を目指す。同社香川工場と、グループ会社のKoyo Bearing North America、JTEKT (THAILAND)で製造する。

 T-HUBはピックアップトラックやフルサイズSUVなどの比較的大型の車種向けに使用されるハブユニット。新開発品は、従来よりも大幅な低トルク化を実現し燃費向上に貢献するとともに、寒冷地での車両輸送時の耐摩耗性能が大幅に向上した。

 ハブユニット(HUB)は、自動車のホイールを支える軸受として使用されている。 自動車業界を取り巻く環境として、グローバルな燃費・CO2規制が継続して強化されており、各自動車メーカーでも高い燃費目標を設定している。これまでは、主に乗用車を中心とした燃費規制が設定されていたが、近年、ピックアップトラックやフルサイズSUVなどの大型の車両にまで燃費規制が拡大してきている。

 大型車両のHUBには大きな荷重が受けられるよう、転動体にボールではなくテーパードローラー(円すいころ)が使われている。ジェイテクトはこの点に注目し、T-HUBのトルク低減による、燃費向上への貢献を目指した。

 HUBは、「円滑にタイヤを回転させる機能を持つ軸受」と「タイヤに掻き上げられた泥水を軸受内部に浸入させないシール」とで構成されており、トルク損失としては「軸受転がり抵抗」と「シール摺動抵抗」とがある。

 T-HUBにおいては、従来からの低トルク技術として、内輪つば/ころ接触部の形状および粗さの最適化、内外輪軌道部の特殊クラウニング加工があり、軸受部の転がり抵抗低減を進めてきたが、今回これらの抵抗をさらに低減するため、B-HUB用に開発した低粘度グリースを応用し、使用環境を考慮して、基油、増ちょう剤、添加剤を最適化したグリースを開発した。

 また、シール部については、低トルクタイプのダブルアキシアルシールに加え、リップに必要な油膜特性と低トルク化を両立するために超低粘度基油を用いたシール専用グリースを採用。

 この結果、従来の低トルクT-HUB比で40%のトルク低減を実現した。車両の4輪すべてに用いることで、自動車の燃費0.5%向上に貢献できる。

 一方、ロシア・北欧など極寒環境では、列車で完成車を輸送する際、レールの継ぎ目からの振動によってHUBの軌道面が摩耗する現象がある。

 開発品では、軸受部グリースに低温環境に適した添加剤の配合に加え、基油の低温性を向上させることで、耐摩耗性能を向上させ、従来比で摩耗量40%低減を実現している。
テーパードローラー