ジェイテクトは、「特殊環境用EXSEV軸受シリーズ」の専用生産ラインを開発し、徳島工場内に新設、4月から稼働を開始している。新設ラインにより、1個単位での受注に対応できる生産体制を整えるとともに、生産ラインの整流化や段取り時間の短縮によるリードタイムの大幅短縮を実現した。
これにより、今後一層の増加が見込まれる、半導体製造分野などの設備開発や設備補修における小ロットや短納期の需要に対応することで顧客の生産性向上に貢献。半導体メーカーやFPDメーカーなどへの販売を強化することで、2019年に2億円の売上げ増加を見込む。
特殊環境用軸受製品の一例:NEWクリーンプロベアリング
半導体やFPDの製造には極めて高いクリーン性が求められることから、製造装置とその部品であるベアリングには、発塵による不純物の混入や放出ガスによる影響を可能な限り低減することが求められている。
一般的なベアリングでは回転する際の摩擦や潤滑油の飛散による発塵、また、潤滑油の蒸発によるガスが発生するため、同社では極めて優れた低発塵特性、低放出ガス特性を有するクリーン環境用軸受「クリーンプロベアリング」を1998年に開発、商品化し、半導体をはじめとする先端デバイスの生産に貢献。こうしたクリーン性をはじめ、真空、高温などの様々な特殊環境で使用される軸受を、「特殊環境用EXSEV軸受」としてシリーズ化し、半導体製造分野などの顧客に広く供給してきた。
一方、近年のIoT、AI、ADASなどのIT技術の急速な拡大を背景に、半導体製造分野などにおける短期間での設備開発,設備補修需要が増加するのに伴い、特殊環境用軸受の小ロット、短納期需要が高まっている。たとえば同社における1件あたり100個以下の小ロット受注・販売実績件数は近年増加傾向にあり、中でも、小ロット受注のうち10個以下の受注が占める割合が増加し、2017年度では54%を占めた。
そこで同社では、顧客の要望に対し、より迅速に対応するため、「1個の受注に対応できるライン造り」をコンセプトに、特殊環境用EXSEV軸受シリーズ専用の小ロット生産ラインを徳島工場内に新設した。
新設した生産ラインは、クリーンな環境での1個からの生産が可能なほか、設備段取り対策による段取り時間を従来の1/3に短縮。さらに、組立の半自動化によってリードタイムを従来の1/6に短縮している。
同社ではまた、同生産ラインを活用して在庫を拡充するなど即納体制も整え、半導体製造分野などの小ロット、短納期需要に幅広く対応していく考えだ。