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SEMICON Japan 2024

 

NTN、手首関節モジュールの量産を開始

 NTNは、外観検査の高速・高性能化と省スペース化を実現する手首関節モジュール「i-WRIST」の量産を本年8月から開始する。

手首関節モジュール「i-WRIST」手首関節モジュール「i-WRIST」

 同社ではXYZステージを用いてワークを移動させると同時に、「i-WRIST」を用いてカメラの姿勢を制御することで複数のカメラを必要とせずコンパクトな構成で複雑形状の外観検査を可能にしているが、今回、自動車部品メーカー、産業機械部品メーカー向けの外観検査用途として量産を始める。

適用例:外観検査装置の構成例適用例:外観検査装置の構成例

 今後はグリース塗布装置、洗浄装置、塗装装置など人手に頼っている作業の代替用途にも展開していくことで、2020年度に5億円/年の販売を目指す。

 従来の「パラレルリンク型高速角度制御装置」の稼働範囲を広げ、半球面全方向に対して任意の位置に高速に位置決め可能な装置を開発、intelligent、innovative、interestingなどの意味をこめた“i”と、手首の“WRIST”を組み合わせた名称に変更した。

 開発した「i-WRIST」は、独自のリンク機構(可動側と静止側のリンクハブ間を3 組の相似リンク系で結合した構造)の採用により、小型、省スペースで広い可動角度範囲を実現するとともに、垂直多関節ロボットやパン・チルト機構(水平方向(左右方向)の首振り(パン)と垂直方向(上下方向)の首振り(チルト)を行う機構)が苦手な細かな位置(角度)変更を、人間の手首と同じような動きで高速に行うことができる。

 従来品の最大折れ角は 45°だったが、今回90°まで稼働範囲を広げたことで、人が行っていた複雑形状や半周面の外観検査作業の置き換えを可能にした。ワークの形状やサイズ、画像処理システムの処理速度にもよるが、60ヵ所の外観検査を8秒で実施できる。

 本開発品の特長は以下のとおり。

1.外観検査の高速化:人による目視検査に匹敵する速度で自動化を実現。慣性モーメントを軽減し、高速・高精度な角度位置決めを可能にすることでタクトタイムを短縮するとともに、専用コンソールによりティーチング、動作設定、段取り替えなどの作業効率を向上させたことでダウンタイムを短縮

2.外観検査装置の省スペース化:人手作業スペースに設置可能。回転2自由度(折れ角θ+旋回角φ)+XYZ+回転軸(Rz軸)で装置全体のコンパクト化を図りつつ、専用コントローラで回転2自由度と各軸の協調動作に対応する

 今後、労働人口の減少に伴い、人手に頼ってきた外観検査などの自動化への需要が拡大することが予想される中、NTNでは、生産現場の自動化や省人化とともに、生産性や品質のさらなる向上に寄与する商品を開発し、社会に貢献していきたい考えだ。