東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第26回目が12月21日、東京都葛飾区の葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。
トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。
第26回目となる今回のトライボサロンでは、「摩耗の声を聴く~師との出会いと研究を振り返りながらAEセンサの基礎から応用まで~」のタイトルで、埼玉工業大学の長谷亜蘭氏を講師に話題提供が行われた。
講演では、和田正毅氏ならびにAE研究との出会い、笹田 直氏ならびに摩耗研究との出会い、三科博司先生ならびに摩擦面in Situ観察との出会いなど、恩師との出会いに伴う新たな研究・知見への出会いについて振り返るとともに、微視的な変形・破壊現象の情報をバスタブ曲線の初期故障期から検知(振動増大の4時間前に異常信号を検知)可能で、なじみの過程も把握できるAEセンシングの原理やメリットについて解説。AEセンシングによる摩耗現象の切り分け(周波数解析により、高周波:凝着摩耗、低周波:アブレッシブ摩耗などを切り分け)が可能な「摩擦・摩耗-AE相関図」を作成しアップグレードを進めていることや、最近の研究として、AEセンシングによる工具刃先状態(構成刃先)の監視や、超小型精密旋盤におけるデュアルAEセンシング研究(工作機械の加工状態監視と予知保全)、マルチAEセンシングによる摩擦面全域のトライボロジー現象可視化と摩耗診断の高度化、AE法を用いたブレーキ材・パンタグラフの性能評価、AE法によるブレーキ異音の評価、AEセンシングによる水中植物の振動観察、AE法によるボールペンの書き味評価、AE法による食品テクスチャの評価:「触感評価AE信号-食感マップ」の作成、などを紹介した。
なお、トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
https://tribo-science.com/salon