日本精工は、スポーツ庁「ハイパフォーマンスサポート事業」の委託を受けた東京工業大学(東京都目黒区)に、競技テニス用車いす向けの専用軸受を納品した。選手が車椅子に求める極限の軽量化と低摩擦損失を実現する補助輪キャスター部の軸受を開発、多数の国内車いすテニスのトップ選手が使用した。
使用機材の高性能化が進む中、軸受の精度への要求も高まってきている。こうした中、日本精工では、競技テニス用車いすで使用された既製の軸受を調査し、実際の競技・練習における速度・荷重・衝撃・加減速などの情報から、最適な軸受仕様を設定し、試作品を開発。その後、選手が重要視する「フィーリング」に対応するため、軽量化と低摩擦損失という要求機能を満たすための最適仕様を決定した。開発した軸受は選手の激しい動きから受ける衝撃に耐えることが可能で、スムーズな回転を長期にわたり実現し、前後左右のあらゆる方向への選手の機敏な動きを支える。
同社は今後、スポーツ等で重視されるこの「フィーリング」の分野に取り組んでいくほか、同製品の開発で積み上げた知見を、日常用を含む幅広い車いす全般に提供し、利用者の生活の質の向上に努めていく。