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SEMICON Japan 2024

 

NTN、2万回転対応のプーリ用軸受を開発

 NTNは、軸受内部の設計および構成部品の最適化により、外輪回転で1分間に20000回転(20000min-1、同社従来品比約1.3倍)まで対応可能なプーリ用軸受を開発した。

 自動車エンジンの補機ベルトに用いられるプーリ用軸受は、近年のダウンサイジング技術によるエンジンの小型化やISG(ジェネレータとスタータが一体化されたモータ)搭載車の増加などによって、エンジン補機類のレイアウトが複雑化し、使用されるベルトおよびプーリ用軸受の設置レイアウトの制限が大きくなっている。プーリ径を小さくすれば設置レイアウトの自由度が高くなるが、プーリ径を小さくすることでプーリ用軸受には一層の高速回転性能が求められる。一方で、自動車の快適性や信頼性向上を目的に、プーリ用軸受には冷時異音への対策や低トルク化に対する要求が高まってきている。

 今回開発された「高速回転対応プーリ用軸受」は、保持器とシールを回転遠心力に対応する設計とすることで、高速回転時のシールリップ部の発熱や、保持器の変形を抑制。同社従来品(深溝玉軸受:6203サイズ比)で約1.3倍となる20000min-1までの対応が可能となった。

 また、グリースも低温特性に優れた仕様とすることで、低温時でのグリース硬化を防ぎ、軸受の外輪とプーリが振動する冷時異音の発生を抑える(-40℃で冷時異音なし)。さらに、軸受の破損原因の一つである脆性はく離に対し、破損の進行を抑制するグリース添加剤の採用や、軸受軌道輪の熱処理の工夫により、低温特性を向上しながら耐脆性はく離特性を維持している。

 同時に、シール形状やグリース基油、軸受の内部諸元を最適化することで、シールにかかるトルクとグリースの撹拌抵抗を抑え、回転トルクも同社従来品比10%低減を実現した。

 NTNでは、今回開発した高速回転対応プーリ用軸受をグローバルに提案し、市場展開することで、プーリの小型化と高速化をはじめとする、ユーザーの高機能化に対する要求に貢献していく。

 本開発品は、5月24日~26日に横浜市のパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2017」の同社ブースで展示される。
「高速回転対応プーリ用軸受」(左)と、プーリ圧入後(右)「高速回転対応プーリ用軸受」(左)と、プーリ圧入後(右)