ジェイテクトは、樹脂保持器の形状の最適化と材質の見直しにより、「工作機械主軸用 低昇温・高耐久 複列円筒ころ軸受」を開発した。本開発品により、ワーク加工精度の向上と軸受交換周期延長の実現に貢献する。
2019年4月に国分工場で量産を開始する予定で、国内外工作機械メーカーに販売、年間1億円の売上を目指す。
昨今の工作機械は、高能率加工の観点より、金型等の精密加工から航空機エンジンに使用されるチタン合金等難削材の加工までを1台で広範囲にカバーできるよう、高速性と高剛性の両立が求められている。
主軸にはラジアル剛性確保のために複列円筒ころ軸受が配置され、潤滑方法としてグリース潤滑が広く採用されている。高速領域においてはポリアミド樹脂保持器で対応してきたが、切削時間短縮のための急加減速や難削材加工など、厳しい使用条件において昇温や保持器損傷の懸念があり、これらへの対応が課題となっていた。
開発品は、樹脂保持器の形状の最適化と材質の見直しにより、ワーク加工精度の向上と、軸受交換周期延長を実現した。
保持器形状の最適化では、「ころ」と「保持器」の接触状態を改善し、発熱を抑制したほか、 保持器重心を考慮した設計で、回転中の保持器の変形を抑制。これらの改善によって、グリース潤滑での昇温が従来品と比べ46%低減している。
また、保持器材質の見直しではスーパーエンジニアリングプラスチックを採用、耐久性を従来品の3倍以上に向上させている。