ジェイテクトは、従来よりも耐熱性、耐食性を向上させることで樹脂製保持器付き軸受の適用範囲を拡大できる「PPS保持器付き円筒ころ軸受」を開発した。油圧機器・コンプレッサメーカーなどに対してコンポーネントの軽量、効率化が図れることを提案、1億円/年の売上を目指す。同社・徳島工場と国分工場、グループ企業のダイベアで生産する。
PPS保持器付き円筒ころ軸受
PPS保持器
樹脂製保持器は、炭素鋼や黄銅等の金属製保持器と比べて軸受の高機能化(軽量、低トルク、潤滑性向上)に貢献する一方で、従来のポリアミド材では耐熱性や耐食性に限界があり、たとえば高温油中で使用される油圧機器(ポンプやモータ)や冷媒ガスにさらされるコンプレッサなどでの使用が難しかった。
そこで同社では、保持器材料にスーパーエンジニアリングプラスチックのPPS(ポリフェニレンスルファイド)を用いた円筒ころ軸受を開発、これらの環境下への適用と、高機能化(軽量、低トルク、潤滑性向上)を両立させた。
PPSの適用範囲
本製品の特徴は以下のとおり。
(1)従来の樹脂材料(ポリアミド)よりも耐熱性が高く、耐食性に優れるPPSを保持器材料に採用
(2)黄銅製保持器に比べ保持器重量を約86%軽量化し、軸受全体としては約11%の軽量化を実現
(3)黄銅製保持器に比べ、起動トルクを約10%低減