空スペースは、保持器を使用せずに玉同士を非接触にする技術、ADB(Autonomous Decentralized Bearing/自律分散式転がり軸受)について、シールおよび潤滑付きアンギュラ玉軸受を開発、サンプル受注を開始する。
空スペースはこれまで、少量生産に適した市販玉軸受の追加工によってADBを提供してきたが、今回、受託製造先との合意により、量産が可能な素材からの一貫製造設備による生産を立ち上げた。
今回の開発品では特に、高性能ニーズの高いアンギュラ玉軸受について、従来軸受の互換寸法のまま利便性の改善を目的に、シールと、潤滑性を担うナノダイヤコート付きとしたもの。
従来、過酷な性能が求められるこのタイプでは、内部空間を最大限保持器スペースに割り当てているためにシールを内蔵できないことが一般的だったが、ADBは過酷な仕様でも保持器が不要なことから、そのスペースに非接触ゴムシールを組み込むことが可能になっている。
さらに、従来使用者に任されていた潤滑面についても、低摩擦、長寿命のナノダイヤコートを施すことで、一般的な用途では追加の潤滑を不要としている。ナノダイヤコートの潤滑性については、ADBとの組み合わせにおいて熱水浴洗浄機や海水浴の過酷環境でも優位性が確認されている。
アンギュラ玉軸受は軸方向荷重が受けることができる方向が決まっていることから、誤組み付けを防ぐため、シールは表裏の外径を変えて表裏の判別を容易にしている。
サンプル品は軸径15mmのADB-7202VVND(窒化ケイ素ボールを使用、シール、ナノダイヤコート付き)だが、一般的なアンギュラ玉軸受(呼び番号7200~7206 等)で同じ仕様の低価格ADBを1000 個~/ロットで提供する。